負けをとって勝ちにつなげる。まさに政治力学。『ライアーゲーム〜再生〜』

維新の会の橋本さんが風俗発言でたいへんそうである。
浮沈激しく、小さなことが大局をひっくり返す、その連続が政治。


『ライアーゲーム〜再生〜』
政治ゲームとは何かの寓意化された本質がここにあり。
一見、感情的で愚かに見える行為でも、実はあとで大逆転をもたらす計算。負けをとって勝ちにつなげる。まさに政治力学。ウソをうまく使うところもね。よくできている。


ライアーゲーム -再生- スタンダード・エディションDVD

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ライアーゲーム -再生- スタンダード・エディションBD [Blu-ray]

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家族ゲーム(予告編動画つき)

 原作を読んだあとに映画を観ると、びっくりする。
 換骨奪胎という言葉を実感した。
 家族構成と家族の名前、家庭教師が出てくること以外は、ほとんどまったく別物の作品。シーンも原作にはないシーンがほとんどだし、セリフもそうだ。松田優作演じる家庭教師のキャラクター設定も異なる。名演技、名シーン、名セリフと言われる部分は、ほとんどが脚本・監督の森田芳光の手によるオリジナル。ここまで手を入れられると原作者はかなり落胆したのではないかと心配になる。作者の本間洋平は「家族ゲーム」以外の作品が見あたらないが、書くのをやめてしまったのだろうか。


『鉄コン筋クリート』

闇は純粋だ。濁ることなく、美しい。


マンガ原作のアニメ化。ほとんどのスタッフが日本人のなか、なぜか監督が外国人。
大阪と東京とアジア各都市の下町をミックスしたような宝町が舞台。町が放つ猥雑でまがまがしくも、どこか懐かしい香りが主人公というべきか。手抜きのない背景や建造物の描き込みに対して、簡潔な線で描かれる人物との対比が不思議な世界観を演出している。
 声優として蒼井優が出演。


鉄コン筋クリート (通常版) [DVD]

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幸福な食卓(日本)

 瀬尾まいこの原作がよかったので、妻と映画の方も観た。
 細君は原作を読まずにいきなり映画からだったが、泣いていたのでよかったんだと思う。
 長い原作に対して映画の省略のやりかたが絶妙で感心した。省略を越えて「象徴」なのだと思った。映像ならではの強みもあったし、反対に原作がもつ文章ならでは味わいが損なわれている部分もあり、興味深かった。
 エンディングは、省略の反対で、原作で終わったはずの部分から、かなり長い時間カメラをまわしていたが、これもひとつの象徴的な手法で興味深い。
 父親役の俳優はカンペキにイメージとマッチ。また、ヒロインやヒロインの恋人をはじめ、学園生活の中高生たちは、中学生日記的な素人っぽさ(下手という意味ではない)で、じつにじつにみずみずしくてよかった。石田ゆり子の母親役だけはゴージャス&若すぎて、かなり?? だったので、唯一の残念。


リトル・ミスサンシャイン

 ばらばらで崩壊した家族が、のっぴきならぬ旅に追い込まれ、旅を通じて家族の姿を取りもどしていくという、コメディタッチのロードムービーの定型。とんちんかんなダメ父がもたらすどたばた、途中で壊れるワーゲンバス、急死するおじいちゃんなどの事件などの諸材料もおもしろいが、定型内。おじいちゃんの死体をかつぎ出すところはイケてただけに、せっかくの死体、もう少しイジりようがあっただけに惜しい。このへんの細部の笑いは、最近の日本映画が得意とするところなので、日本でリメイクできればかなりいい味がでそうな素材。
 しかしながら、物語の軸となっている子どものミスコンの結末に、安易なハッピーエンドに持ち込まず、けっこうシビアに終わらせたところは、気持ちよく期待を裏切られて喝采。
 長男の存在は、小説(文章)などでは表せないキャラクターで、俳優の演技に喝采。

リトル・ミス・サンシャイン [DVD]

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