捨ててでも遊びをつくる

 午前3時50分。起床時間が日々、早まってきている。この時間でもう日本最北端の町は明るくなってきている。テントが濡れていない。こんな朝ははじめてだ。カセットコンロでうどんをつくって喰った。
 マドカがはしゃいで周りの人を起こしてしまったようだ。彼女はすぐに誰とでも友だちになる。岡山から来たおばちゃんにはバナナをもらい、京都のライダーには北海道の黄色いフラッグをもらっていた。このフラッグはマドカの大のお気に入りになり、クルマの中でも店に入るときも、野小水するときも、いつも握っていた。
 市街地の車内で1時間半ほど仕事をする。ほぼメドがたったので、出立。宗谷岬に立ち寄ったあとは走りつづけて紋別をめざす。それにしても店がほとんどない。腹ぺこだが、どうにもならない。マドカの発案で、買い置きしておいたカップヤキソバをつくることにした。
 オホーツクの荒波の飛沫が霧雨のように降ってくる小さなパーキングにインプレッサを停め、少し早い昼食の準備をする。ウォータータンク、コンパクトバーナーを洗練されたパッキングのおかげで、とつぜんの通り雨に対してもじつに迅速にことを進めることができた。ポイントは余裕をもって詰めることだということも分かってきた。ぴちぴちに物を詰めると、出し入れが大幅に不便になる。ぴちぴちにしないためには物を減らすしかない。何かを捨ててでも遊びの部分をつくっておくことが、順調さを生みだす。生活もまさに然りだ。