天下の嶮 箱根クライムアタック!

 ついに休日だ。小田原に来てはじめての休日。(先々週は引越、先週はレースで松戸に行っていた)
 午前6時。ORBEAオルカ号のペダルに片足をかけ、煙草を吸いながら国道1号に面したわが家の前で網を張る。箱根の旧街道を走るのははじめてだし、しかも自転車だ。慣れてそうなチャリダーが通ったら、くっついて行ってみようと思っていたが、20分、誰も通らない。なぜだ? 昨日まではあんなに通っていたのに! あきらめ単騎出走。
 4kmほどで旧街道入口。都心の金持ちの隠れ宿の雰囲気ただよう閑静な温泉旅館のつらなりを抜けて、猿沢橋から本格的な山岳コース。天狗神社を通過すると、長い長いマジで長い10%勾配がつづき、延々とスタンディングでペダルの奴隷。次の難所は七曲がり。七曲がりって言うのに、ぜんぜん七つじゃない。終わることなく眼前に現れるヘヤピンカーブを丹念に、いや、ただのろのろとクリアーしていく。頭が朦朧、足は棒棒。坂がゆるくなったと思ってシッティングにもどっても、メーターを見たら10%勾配を指している。YO、完全に感覚がおかしくなってるじゃんジャンキー。でも10%を39Tのデュラエースでシッティング。ふだんなら絶対に無理じゃんジャンキー。これやはりクライマーズハイ?
 走り屋のあいだで有名な峠の茶屋にやっと着いた。が、素通りした。芦ノ湖まで無着陸を達成したい。もう少しだろうとタカをくくっていたが、ぜんぜん上り坂が衰える気配はない。茶屋からたっぷり標高差150mは上っている。
 やっと国道1号との合流信号。無着陸達成のために信号無視した。これがいけなかった。何も考えず上り坂の方を選んでしまい、いつまで行っても芦ノ湖の看板が出てこない。おかしいと思っているうちに「国道1号最高標高地点」を通りすぎ、下り坂へ。もうここまで来ると間違っていようがまっすぐ進むしかねっす、速度50キロ越えてるしもう止まれない。そのまま下り切って、けっきょく家まで無着陸でもどってきてしまった。
 地図を見ると、直線距離で芦ノ湖の100mぐらい手前に肉薄していたのだが、交差点で下り坂を選ばなければならなかったのだ。朦朧とした意識の中、無意識で上り坂を選択するあたり、クライマーズマゾヒズムに罹患していたようだ。
●所要時間:1時間29分
●走行距離:37km
●登坂高度:768m
●最高速度:57km/h