宮家来訪。そして小田原ナイト

 午後3時。仕事をしていると、皇族の流れを引くという噂の宮さまから電話が入った。今週は遅い夏休み中だという。なんせ皇族の流れを引いているかもしれないので、
「なんなら小田原にでも御幸にいらっしゃれば」
 と御挨拶をすると、
「えー、じつは小田原で迷ってまして・・。家族もいっしょだったりします」
 すわプラーーーイズ!
 娘を引き連れて駅までお迎えにあがった。御用車レガシーが駅前皇室臨時駐車場に厳かに停まっていた。こんなときのために御用駐車場を借りておいた。小田原に引っ越して以来、一度も使ったことのない駐車場にご案内申し上げ、すぐ海に行き、ビール。このあとの予定は未定という宮さま一家を、小田原駅前おしゃれ横丁のぜんぜんおしゃれじゃない居酒屋にお招きし、しこたま飲んだあと、もう帰れませんね、それじゃあ大奥とご子息らは家でゆるりとおくつろぎいただき、宮さまとふたり小田原ナイトへくりだした。
 駅からは10分以上離れた旧繁華街の宮小路。こんな離れたところじゃ不便ではと思ったが、鉄道が開通するずっと以前からの小田原の盛り場とのことだからしかたない。街道のちょうど裏手にあり、うちからは歩いて数分。網の目のように細かい路地に入り、猫の通路のような細い裏路地を抜けたところにあった小さな居酒屋に入り、情報収集。韓国系が多いが、高いので地元の人もあまり行かないという。ここらへんはフィリピンが意外に多く、中国はあまり見ない。特に危ない店もないようだ。さっそくフィリピンへ。前払い4000円。カラオケ代は別だが、それ以外はいっさいなし。
 それにしても驚くほど客が多い。ぞくぞくと客がやってくる。ほとんどが地元客のようだ。時間になると、カラオケ予約がまだ入っていたが、15秒の猶予もなく、びしゃりと追い出された。この厳しさ、小田原ルールなのか、それともわれわれが異邦人だからか。お忍びでお遊びの宮さまと、よろよろと帰途についた。
 ともあれ、小田原ナイト突入達成である。