魔女裁判のあとをふり返ってみて、しみじみ感ずることは、魔女裁判(いや、それを含めて宗教裁判一般)を一貫している「モラルの倒錯」である。そこでは、残虐、違法、偽善、欺瞞、貪欲、不倫、軽信、迷信、歪曲、衒学、・・およそ思い浮かべられる限りのあらゆる不義、悪徳が、むしろ正義、美徳として、なんのためらいもなく、確信に満ちて堂々と行われているのである。この確信が、あらゆる不義と悪徳を正当化している。
(森島恒雄『魔女狩り』岩波新書)
現代の日本は、漠たる不安と不確かさに満ちている。案外、理想的な状況なのかもしれない。
- 作者: 森島恒雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1970/06/20
- メディア: 新書
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