踊り念仏とレイヴァー

「クラブで踊っていると、なんだか神がかったように頭がブッ飛んでいきます」
 ふむふむ。私の頭の中でニイニイの説明は、わかりやすいように「一遍上人の踊り念仏」という言葉に変換される。
「そしてクラバーたちはだんだん、外で踊りたい、という欲求に突き動かされるようになります」
「ええっ?! それはみんな、そういう流れになっていくの?」
「たいがいの人は。野外で大音響の中、踊り狂いたくなるのです。それがレイヴです。(中略) レイヴァーもインドをめざすのです。インドのゴアで、踊り狂うのです」
三浦しをん『しをんのしおり』)

 
 アルコールやドラッグといった外部から摂取する因子に頼らずに、ホットでスピリチュアルな活性状態をスピーディーに手に入れる方法の鍵は、脳内アルコールとでもいうべきエンドルフィンの分泌にある。いわばアルコールを脳内で自己精製してしまうのだ。
 これを手軽に実現するための方法を模索するなかで、一遍上人率いる「踊り念仏」に目をつけて資料を収集していたところ、たまたま読んだ三浦しをんのエッセーで引用の文章を見つけた。
 レイヴァーはインドをめざす。
 何か強力なヒントがありそうな気がする。