紙ヒコーキにうつつを抜かす家族

 このところファミリーの週末は、紙ヒコーキで豪遊。
 なかでも第一人者の二宮康明が設計したホワイトウィングという競技用紙飛行機にのめりこんでいる。おもちゃ屋で300円程度で手に入り、20分もあれば完成する。シール式で接着剤がいらないタイプのものもあり、これなら5分で仕上がる。
 このあと室内でテスト飛行とセッティングをくり返す。翼が空気をつかむまで何度もくり返す。
 主翼を左右それぞれ15度に反らせ、左右のブレをとる。キャンバーをつけ、水平尾翼、垂直尾翼とのバランスポイントを探る。細かなトライアンドエラーはオートバイのキャブレターに通ずるものがある。ひとつを動かすと何かが崩れる。ふたつが崩れると原因は分からない。最初に戻す。
 前触れもなくぴたりとすべてが合った瞬間、呆然とした。神が舞い降りたかのような航跡。伝統ある名機のゆえんを垣間見た。
 休日は、本飛行。
 最初は、ふつうの公園で飛ばした。直滑降で墜落するとダメージも大きく、セッティングが大きく狂う。風向に対して直角に、機体を寝かして離陸させる。風をつかむとおそろしく飛んだ。娘と歓声を上げ、次の瞬間にはフェンスの向こうに消えた飛行機を助けに駆けだした。
 より大きな広場を求めて移動した。
 それでもホワイトウィングは飛行距離を伸ばしつづけ、木の梢にひかかって、いやがる娘をむりやり登らせたりもした。
 紙飛行機のための遍歴は、やがてインプレッサを巻き込んだ。リヤウィンドには3機のホワイトウィングがのぞく。クルマに積んでおけば、空気のいい開けたところを通りかかったときにでも、ちょっと停まって、息抜きがてら名機を飛ばしてみるというのも悪くない。