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チャリをこれからはチョッパーと呼ぶのだ

詩的断章

 イマジナリーフレンド(空想上の友だち)は小さい子どもなら誰でも持っている。最高裁で死刑が確定した宮崎勤は今でも持っている。ネズミ男がフレンドかどうかは微妙ではあるものの。
 行方不明になったイマジナリーフレンド。その名はポビーとディンガンオパール採掘で一獲千金を狙う山師やその家族の住むオーストラリアの小さな町で、病気になった妹を元気づけるために、行方不明になったポビーとディンガンを探す兄。
 お涙ちょうだいの話ではなく、かなりクールで、このお兄ちゃんはイマジナリーフレンドなんているわけないし、馬鹿らしいと思っているのだが、妹を元気づけるならしゃあねえや、探すふりを町のみんなにもしてもらおうというようなシビアな視点がよい。やがて小さな奇蹟が町じゅうにひろがる、と映画の宣伝に書いてあったが、ファンタジックな奇蹟だったらやや失望だが、ここでもクールさを守って、きっちりリアリティのある奇蹟であった。殺伐とした人々の心に小さな善意の輪が広がる、これは都会でも実際に見られることだ。
 この少年が、自分の愛車(自転車)を「チョッパー」と呼ぶのがよかった。チョッパーとは「ぶった切って捨てる」という意味で、不要なものを究極まで削ぎ落としたチャリは、まさにチョッパーと呼ぶにふさわしい。
 それにしても、この本の結末はいくらなんでもクールすぎないか!!
 

ポビーとディンガン

ポビーとディンガン