スポコンで酢を飲む

 娘とまいにちスーパーに買い物に行く。
 きょうは行きの宮前通りで娘の提案で、影ふみをやりながら歩いていた。影が長くて、逃げても逃げても影だけは笑っている娘の足もとに残っている。テンションが上がって影だけを見ながらダッシュしたら、クルマにひかれそうになった。
 スーパーでは酢を物色した。新聞の健康欄で、篠原涼子が酢をまいにちガブ飲みでゼッコーチョーと言っていたのを思いだしたのだった。いろんな酢があったが、広告ですりこまれたせいか、飲むなら黒酢のイメージがある。調味料コーナーに置いているものなのに、ラベルの裏をみると「飲み方」なんて書いてある。もはや、れっきとした健康飲料なのだ。
 なかでもミツカンの黒酢は「飲みやすいから毎日つづく」とコピーの入った初心者向けのハチミツ入りと、「そのままお飲みいただくと胃やのどがあれることがあります。刺激を強く感じる場合は使用をおひかえ下さい」と赤い字で警告の入った上級者バージョンとがあった。
 酢を飲むというのは、想像するだけでつらそうである。だけに、スポコンを刺激される。警告入りの方を買った。900円。
 一方、流行の黒酢ではなく、昔ながらの米酢は同じ分量で200円、穀物酢にいたっては100円である。おまけに穀物酢は「徳用サイズ」なるものもあって一升瓶と見まごう迫力で200円。これをラッパ飲みしている自分を想像して、そのあまりのハードさにビンを抱いたままうっとりした。
 いつかは穀物酢! 徳用穀物酢!
 これぞ究極の酢ポコンである。