そしていつも思う。社会をどんどん俗悪なものにしているのは私の世代なのだ。小学生の名前の変遷を見れば歴然とわかる。このクソ世代がやっていることが。
(絲山秋子『沖で待つ』「勤労感謝の日」)
2006年最初の芥川受賞作家になった絲山秋子さんは、日本で初めてまともな女性総合職小説を書いたことで評価された。女性総合職第1期生の彼女らは新人類と呼ばれていた。
小学校のクラス名簿を見る。明子とかよし子とか、子のつく名前はクラスにだいたい2人ぐらい。子のつく名前を娘につけたかったのに、そうしなかった。うちも俗悪な名前になっているかもしれない。
天皇家の愛子さま。さすがだ。子をつけながら古くさくなく強い独自性がある。
妹ができたら何という名前にするのか娘に訊かれた。
「オレンジ」
「ひっどーい」
「いや、みかん、だったかな」
「おとーさん、みかん、あんまし好きじゃないじゃない」
「好きな名前をつければいいってもんじゃないさ」
「ねえ、あけみ、にしようよ」
あけみ?
う、うーん、それはどうかなぁ・・言葉を濁した。確かに伝統的な名前ではあるが。それにしてもいきなり、なんで「あけみ」なんだろう?
- 作者: 絲山秋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/02/23
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