やっぱり回復期はだいじ

 もうまる一日からだが動かなかった。
 5万メートルのインターバルスウィム、450キロのランニング、週2回程度の箱根登坂・・大島トライアスロンのダメージが回復してからの一ヶ月は、以前より強度の高い鍛練に肉体を投げこむことができるようになった。明らかにサナギマンから抜け出た感のある一ヶ月であった。
 しかしサプリメント漬けで、無理矢理絞り出しているような違和感もあるし、脳みそは考えない脳、100%小脳状態で、ラミダス原人程度まで退行している。
 体重は2〜3kg落ちた。体脂肪は20%前後から15%台に。本腰を入れはじめたばかりのランニングの効果(負荷)は大きいようだ。
 そしていっきに揺り戻し。体がぜんぜん動かなくなった。目が覚めると、起き上がれない。アキレス腱が固着して、ロボトみたいである。あきらめて、ひさびさに脳だけを使った一日を過ごす。使い慣れていないので、脳がけっこう酸素を消費しているのが分かる。処理能力はひどいが、集中持続力は悪くない。エイプマン脳。
 翌日、いきなり肉体完全リカバリー。すごい。どんどんいけそうで怖い。
 実業団鉄人部NKロケッツのキャプテン、中川さんが言っていた。
「回復期をはさんで強くなる」
 週末は八尾トライアスロン(富山県)遠征があるので、この1週間は調整にあてる。長めの回復期でもある。軽めに体を動かすだけにするつもりだが、体が勝手に踊りだして危険である。
 箱根は控え、オルベアORCA号で手近な石垣山登坂。2往復は軽くアップし、3往復目でアタック。
 昨年10月以来だせなくなっていた悲願の9分切りを大きく上回って8分43秒。足がエンジンのようだ。悩みだった膝もグルコサミン効果で頑強。


graph:id:cippillo:石垣山登坂時間
石垣山登坂時間


 トライアスロンウェアーなので、そのままランニングで片道6キロのスポーツクラブへ。
 プールでは、ちょうど、顔なじみになったアスリートおじいちゃんたちが100m×10本のインターバルをやるところだった。おいでおいでをされて、仲間に入った。動く。体が動く。
 調子に乗らず、プールはインターバルをもって終わりにした。
 帰路のランニングは小雨で心地よい。ちょっと遠回りして、小川沿いの土道で魚をのぞきこみながら走ったり、土手にクレソンを見つけて喜んだり。八百屋の前では、買い物客のおばちゃんが、買ったばかりのホオズキをうれしそうに抱えていた。
 少しずつだけど、ランニングがおもしろくなってきた。チャリよりも、いろんなものが見える。
 三ヶ月前、イトーヨーカドーで買ったシューズの先に目を落とす。水しぶきを飛ばし軽やかに前後するシューズの先端に、ゴマつぶみたいな小さな文字で「RUN LONG」とある。
 RUN LONG。
 この小さな文字、なんか好きだな。
 ヨーカドーで、もう一足同じのを買ってしまった。
 RUN LONG。
 そしたら居酒屋の前で見かけたおばあちゃんが、同じシューズを履いていた。
 ちょっと拍子抜けしたけど、おばあちゃんだって、
 RUN LONG。