■8月15日(火) 増穂浦→輪島
早朝4時にめざめる。朝方の気温は寝袋では足りないぐらいに寒く、日中との気温差が大きい。体力の消耗が大きい。
しかし七時ごろに半島の稜線から朝日が顔を出し、入り江がぱあっとエメラルド色に染まると、疲れも忘れて海に飛び込んだ。遠浅なので娘も安心している。
が、最初にわざと深みに呼んで、目の前で溺れさせた。
ほんとうはたいして深くない。が、ちょっと足が着かなくてあわてると、溺れる。娘もちょっと海をなめはじめていたので、怖い思いをして、身にしみたようで、その後はけっして腰より深いところにはいかないようにしているようだった。
あとはゆっくりふたりで泳ぎを楽しんだ。
白い砂底にゆらゆらと自分の影が映っている。自分のフォームをチェックした。
やどかりの群れが動いている。
20センチぐらいの魚も泳いでいた。
ヒトデもいる。
海で泳ぐのがこんなに楽しいとは。
およそ1.5キロ泳いだ。
1時間ほど泳いだあと撤収し、クルマで北上。
半端じゃない絶景。厳しさと豊かさがいっしょにある。ただ道はかなり狭く、わりと交通量もあるので、すれ違いがたいへんだ。オートバイならば、もっと楽しかっただろう。
たいした距離でもないのに、輪島まで3時間ぐらいかかった。この短い区間に、ふたりの芥川賞作家が舞台に選んだ地が二ヶ所もある。ヤセの断崖と皆月。さて作品と作家は誰でしょう?
輪島の袖が浜キャンプ場に野営。
テント設営が終わったあと、夕方の海を泳いだ。増穂浦ほどではないが、ここも波は小さい。ただ遠浅ではなく、砂浜から十メートルも沖に進めば、海草が豊かに茂り、岩にはさまざまな海生動物が動くのを見ながら泳げる。
まるでスキューバダイビングのようだ。こんなスウィミングの楽しみもあるとは。
もっと沖に進もうと思っていると、背中がちくっときた。つづいて腕や足につぎつぎと、ちくっと来る。クラゲかと思ったが姿は見えない。
しかし、ちくちくはどんどん増える。体の変調かと思い、逃げ帰るように浜に全力泳した。
管理のおじさんに聞くと、
「そりゃエラやろねえ。お盆を過ぎると、能登じゃ、エラっちゅう目に見えんぐらいのクラゲがでるんよ」
ここでのスウィミングはあきらめた。
輪島の町へランニングで行き、スーパーで地元の魚「●●カレイ」を買った。今日は栄養をつけるために、豆腐、納豆、もずくなどの食材も買った。カレイは煮付けにした。
夜の星はやっぱりすごかった。小田原だって空気はきれいだ。なぜ能登の星空は圧倒的にすごいのだろう。海に突き出ているからだろうか。
すぐそばに温泉があったが、ちょっと高級旅館っぽく気がひけていると、娘が、
「きくだけきいてみようよ」
と、すたすたと入っていく。結果、入浴だけは無理だったが、感心した。
浜辺に野ざらしの水のシャワーがあったので、ふたりで、冷たい冷たいと大騒ぎしながら浴びた。
お父さん海に行こうよ、と娘は折りたたみイスをふたつ持ちだした。
波打ち際で星を見ながら、みかんの缶詰めを食った。