金持ちとーさんと貧乏とーさん、どっちがいい?

 すっかり敗れ、美しく素寒貧。
 ワイフに煙草さえも買ってもらう日々。
 新聞代が払えず、娘の貯金から借りた。小学3年生に金を借りたことをなさけなく思わない自分のダメっぷりに、なかばあきれ、なかば自嘲気味に娘に訊いた。
「貧乏とーさんと金持ちとーさん、どっちがいい?」
 どう答えるかよりも、娘が考える時間に興味があった。が、娘は即答。
「おもちゃがたくさんあっても遊ばないから、貧乏とーさんがいい」
 美しく素寒貧。