初フルマラソンDNSの危機

 金曜日夜、京都木津川のマラソン大会にむけてクルマで娘と出発。
 ワイフは仕事が終わらないと言って、まだ都内。
 西に向かうのに、いったん東京に寄る。オペラシティで彼女をピックアップしたのが深夜1時。
「ぽんおとーさん、体調は?」
ヘレン・ケラー。腰痛、風邪、おまけに鼻炎っぽい」
 午前7時、三重県の名阪国道。一度も目を覚ますことなく、ぐっすり眠っていたワイフと娘を起こす。
 車窓には雪化粧の山々。
 タイムスリップしたみたい、とワイフが感嘆していた。サービスエリアで娘は雪遊び。
 忍者、伊賀の里で一般道におりて、マス釣り場をめざす。しかし峠をひとつ越えなければならない。チェーン規制にはばまれ、ようやくノーマルタイヤで越えられそうなルートに行きあたる。が、はじめての雪の峠。這うようにゆっくり進んだ。
 南京都の湯船森林公園マス釣り場に着いたのは午前9時半。昼過ぎまで娘とマス釣りをするが、気温2度、水面に氷が張っていた。
 寒さのせいか、魚は深いところに滞留していて、なかなか食わない。深層狙いと超ショートバイトをかけるコツをつかんでからは、ぼちぼちと釣れはじめて、ルアーとフライでどうにか20尾ほど。しかしながら塩焼きサイズより小さく、丸干しサイズ。
 しかも寒くて元気がないのか、釣りあげるとき、ぴちゃぴちゃともいわない。20センチ級は「ぴちゃぴちゃ」、30センチ級だと「ばしゃばしゃ」、40センチ級で「ぼごぼごっ」。水音で釣り上げる魚の大きさが分かるものだが、無音というのははじめての体験だった。あえて言うなら、ぬぼー、か。ましなものでも、「ぴちゃぴちゃ」よりもっと、か細い「ぴちぴち」。
 僕たちが入ったのはファミリーむけのライトエリア。本湖の方は大きいのがいるそうだが、難しいのでやめといた方がいいと言われた。
 水がクリアーなので、深層で手もとにアタリの伝わらない超ショートバイトを実感できて勉強になった。
 それにしても、南京都の山あいの清い水と空気は最高だ。ヒルクライムのチャリダーが多かった。
 奈良の宿に着くと、熱がでていた。
 夕食までのあいだ、平城京なんかを見物しようと散歩したのだが、平城京のあるはずの場所にはイトーヨーカドーがあった。たかだか散歩なのにクツズレをおこし、おまけに悪寒、腹痛。夕食からはあまり記憶がない。深夜、悪寒で目覚めた。口腔の砂漠。
 朦朧とした浅い睡眠と覚醒をくり返す。夜が長い。
 このままではマラソン大会はDNF(ドゥーノットフィニッシュ)どころかDNS(ドゥーノットスタート)の危機である。というよりマラソン以前の問題で、DNW(ドゥーノットウォーク)であり、へたをするとCNK(キャンノット帰る)、つまり家まで帰りつけないかもしれない。
 午前6時、ワイフと娘が目を覚ました。