ドライ饗宴とシンキングのリトーリブ

 週末、ワイフが始発で休日出勤だったので、娘と釣りに行った。
 自主禁漁期間中なので、名目は調査捕鯨ならぬ、調査捕鱒。主目的は新しい釣り方とタックルの検証である。
 ここのところ娘の方は釣果ゼロがつづいていたが、この日はひさびさに釣れた。インジケーターなしの釣りで、良型10尾達成(足もとバラしもカウント無効の大人ルールで)。
 僕も、30ftのシンキングライン(#7のTYPE2)を#5のフローティングラインに接続して、初のリトリーブ釣りにチャレンジ。ルアーと似たダイレクトな感触で、素晴らしく興奮。
 キャストもダブルホールを中心に練習し、どうにかバッキングラインが見えるところまで投げることができた。20mぐらいラインが出ると、ダブルホールも余裕をもってできることが分かった。それでもたかが20m弱。ホールなしでフルライン30mは行くそうなので、ひたすら練習あるのみである。ループがちゃんとしていないので、ライントラブルの連続だった。
 雨後のアタリ日だったらしく、釣れる魚は最初から40前後から50センチまでの大型ばかりで、そのうち腕が痛くて泣きそうになった。ただし悦楽の50オーバーは皆無。ただの消耗戦。
 たまに小さいのが来ると、ほっとする。あくまでキャスティングの練習がメインなのに、中途半端にでかい魚とのファイトでいたく腕力を消耗。
 もう限界。途中から針をつけないでキャスティングに専念した。筋肉トレーニングも必要か。
 日没間近から、とつぜん水面がざわめきはじめ、ライズ爆発。フライマンたちが「今日はめちゃめちゃですね」と騒ぐほどの、ライズ大饗宴。
 さっそくデビュー戦となる#4でバット部5mmの激細ロッド&ORVISリールでドライ釣り。一投一尾で襲ってくる。すごすぎる。
 ドライの場合、小さい魚はわりと派手に食うが、大型魚はゆっくり水面に出るように思えた。なかでも水面が、もやっとあやしくよどんだかと思ったら、フライが消えていて、これが大物の食いか、と感心した。実感としては、アワセはやや遅いぐらいの方がいいように思えた。
 竿がぐにゃぐにゃ(フライロッドのくせにスローテーパー)で、まるで投げている感じがしないのだが、軽いのでいくら振っても疲れない。遠投用シンキングと、軽量ドライの2つのタックル体制は長丁場にはよさそうだ。
 はじめて、かっこいいエルクへアカディスも使ってみた。あきれるほど何を投げても釣れた。
 帰りがけ、クルマに一匹の虫が止まっていた。
「うわー、この虫、フライそっくりじゃー!」
 と、娘と大騒ぎしたが、そっくりなのは虫じゃなくて、フライの方である。
 今度、この虫を模したフライを巻いてみよう。この虫の名前、知っている人がいたらおしえて。