GW後半1日目〜筑波サーキット8時間チャリ耐久

 午前2時起床。少し仕事をして、午前3時小田原出発。
 午前5時過ぎ、筑波サーキット着。
 今回はアイヤーンマン・ジャポンの練習もかねて、サーベロP3カーボンを投入しての出走である。そのままではレース規定上の違反車両にあたるので、DHバー(特殊なハンドル)をはずしたり、サドルのボトルゲージをはずしたり、メーターのつける場所に苦労したり、1時間近くかけて合法車両にフィッティング。
 正直、このチャリは乗りにくい。ガチガチの車体、逆立ちしそうな前傾、ずり落ちそうな前乗り、重くて加速の遅いディスクホイール。苦行である。最後までいつものチャリにしようか迷ったが、アイヤーンマン完走のための修練のひとつと思い、わりきった。
 午前8時半、試走。5周回10キロを走った。疲れる。右膝にいやな感じの痛み。
 この8時間耐久は1チーム5人交替で走る。スターティングライダーに指名されていたが、ここで無理をしてアイヤーンマンを棒に振るのが怖くて、断ろうか迷った。が、腹をくくった。けっきょくやるのだ。
 午前9時55分。スタート5分前。スタート位置は310チーム中、299番グリッド。つまりほとんど最後尾である。スタートラインは、はるか遠く見えない。ル・マン式スタートでコースの両側にずらっと310機のチャリが並んでいて壮観である。
 すぐ近くに表彰台常連の強豪のKレーシング、優勝候補のYレーシングがいた。その少し前にはやはり表彰台常連のセマスレーシング。30機抜いてセマスに追いつくことができれば、なんとか先頭に出られるだろうが、スタート直後のサケ遡上状態の混乱の中で安全に追いつくことは、自力では不可能である。しかしKレーシングとYレーシングに何とか食らいつければ、少し光はあるかな、と照準を定めた。
 スタートの号砲。
 直後に事故が多いが、落ち着いて無難にやりすごす。まずKレーシングに食らいついた。Kレーシングはぐんぐん加速し、やがてYレーシングの2機と合流。イエローのK2機、オレンジのY2機、そしてピンクの自分と5機で列車を形成し、さらに加速。後ろに追随する機も増えはじめ、目的地ははるか先の先頭、疾駆する快速急行乗り合い列車。
 しかしセマスが遠い。セマスは4機の美しい列車を形成し、僕らの混成列車よりも速いペースで先頭をめざしている。
 あかん。追いつけん・・。つい、タービン全開で列車を離脱して加速。この動きをトリガーに、列車のペースが上がり、うまく牽引車ローテションでセマス・トレインに合流。この時点で僕の足は早くも完売御礼。
 ところが、そこはセマスが引っぱる夢の超特急。後ろについているだけで、らくらくの喫煙グリーン車。セマスの人たちには、ほんと頭あがりません。
 先頭集団はまもなく射程圏内。と、思ったら第二ヘアピン、僕の2機先で多重クラッシュ発生。イン側のゼブラに逃げて運よく回避、したものの、夢のセマス列車が分断。たまたま前から2番目を走っていたので、後続の混乱に巻きこまれずに脱出できたが、このあとは2機で先頭を追いかけることに・・あ〜、楽しようとした罰か、たまには恩返しで、がんばれるだけ石炭を放り込んでローテンションに協力。
 2周回目最後あたりで先頭集団に追いついたが、先頭のペースが遅く、すぐに集団が巨大にふくれあがった。
 ペースが遅いので、いらだったライダーが後方から列車になってアタックしてくる。そのたびに集団がちぎれ、つなぎ直そうとおのおのが個別アタック。周回差ライダーもではじめ、どろどろの混戦模様。
 この危険きわまりない状況と、さっきの多重クラッシュ(救急車が出ていた)の恐怖から、つい前に出てしまい、牽引車グループに入ってしまった。
 裏側では何度かトップに立つものの、観客の待つメインストレート前でいつもトップ降板。場内アナウンスで一度は「1位通過はNKロケッツ」と轟かせてみたかったが、2位通過がやっとで、かなわず。(自分では2位通過と思ったけど3位通過との報告あり)
 強豪チームは牽制しあっているのか、低いペースに甘んじている。一機が猛烈なアタックで抜けだす。いや〜、かっくイーですねー、しかし全員無反応。
 ひどいと39キロまで落ちる。牽引が僕も含めて弱いのばかり。
 この状況に対する優勝候補Yレーシングの判断がすごかった。たった20分の時点で、サインなし気配なしで、いきなりピットイン。ほとんど不意打ち。残る先頭集団は、あちゃぺー! と意気阻喪。
 おそらく彼らはペースが遅いあいだにピットインし、ピット回数を早めに稼ぐとともに、再スタートしてもじゅうぶん同じ列車に追いつけると踏んだのだろう。
 無線を使っているので、ピットからの指令を周囲に気取られることなく作戦に履行することができる。残された他の強豪チームはしかたなく列車を引っぱる。彼らに残された道は、このダレた先頭集団のペースを上げさせて、Yレーシングに追いつかれないようにするだけである。しかし結果は集団崩壊であった。
 これを機にこちらも早めのピットイン。いつもの半分しか走っていない。
 さて、僕の記憶はここまでである。のこりの7時間半は、余力を残さず、やれるだけ走った。
 そのなかで残像のように印象に残ったことを点描する。

  1. チームメイトが8時間にわたってペースダウンすることなく、1周回3分前後で走っていたのでビビった。
  2. ストップウォッチの導入によって、気を抜いて走るとすぐバレるので、つねに緊張感があった。(いつもは見えないところで足を休めてたりする)
  3. 第3走目で運よくセマスBと同時スタート。ふたりで協力して30秒先の先頭集団を追いかけようとしたが、セマスBの強力かつ執拗な加速にまったくもってついていけず、たいへん迷惑をかけた。(ごめんなさい)
  4. 無線はないが、ピットサインをやってみたところ、かなり効率的。無線があれば10位分は順位を上がられるはずだ。待っているあいだも緊張感の持続、チームメイトの一体感、サポーターに参加するきっかけと一体感を与えられるなど、メリットは大きそう。何より、かっちょEわね。
  5. 80位→50位→40位と後半に行くほど順位をあげた。これはチームの地力がついてきた証拠。今後が楽しみ、と同時に気持ちが引き締まった。
  6. 今度は同じレベルの2チームをつくって(4名でもいいので)、ぜひチームオーダーとピンクの編隊をやってみたい。優勝したYレーシングのオレンジ編隊、美しかった。


走行:88キロ(うち試走10キロ)
平均時速:39.6キロ
最高速度:53.5km/h(第1周回)
使用機材:サーベロP3カーボン with ZIPPディスクホイール