『あ・うん』 向田邦子

嬉しい時、まず怒ってみせるのが仙吉の癖である。(向田邦子『あ・うん』)

 昭和から平成にかけて日本が失ったもの。
 父、母、戦友。
 古いはずなのに、いまもって新鮮。
 何千本ものラジオ・テレビの脚本で鍛えられた向田邦子の文体もまた、トップアスリートのように筋肉質で美しい。
 正直、まいった。

あ・うん (文春文庫)

あ・うん (文春文庫)