「長距離選手に対する、一番の褒め言葉がなにかわかるか」
「速い、ですか?」
「いいや。『強い』だよ」
タイトルが素晴らしい。直木賞作家三浦しをんが箱根駅伝を題材に書いた長編小説。
駅伝に関してはまったく無名の大学の、陸上経験者でもない学生を含む寄せ集めチームが、半年間の特訓で箱根駅伝に出るという無理のあるストーリーだが、かなりしっかり取材して書いているので、ふつうの人間が箱根駅伝に出るためには、いったいどれだけのことをしなければならないのかが分かる。屈折した天才と、ふつうの人々の混成チーム。
選ばれた天才だけを描くふつうのスポ根モノとは一線を画す。