嘔吐とともに走りだした連休

 目が覚めたら、気持ちが悪くて便所で吐いた。午前6時。
 酒も飲んでいないのに吐いたのは、小学生以来かもしれない。午前3時まで仕事してから寝たのだが、寝る前にすでに気持ち悪かった。
 口中が紙粘土の味。寝ている間に紙粘土を食わされたかと疑った。家庭内の暗殺事件かと訝る自分がなさけない。
「やるなら、粘土なんかじゃなく、確実にやるよ」と妻は笑って言った。
 いや、粘土でじわじわ・・やめよう、あまりになさけなさすぎる。
 嘔吐と下痢と発熱で連休初日は終わった。飯もほとんど食えなかった。それでも最後まで夜のスイミングスクールに行こうとあがいたが、ムリだった。おかげでまる一日パソコンの前にすわっていて、快進撃! と凱旋したくなるほどに仕事が進んだ。


 連休二日目。頭痛が残っていたが、朝7時半から箱根チャリアタック。出発して3キロ地点のコンビニで早くも下痢。しかし坂道に入ると、意外に調子よく、つごう3機を抜く快調ぶり。人間の体は分からないものだ。帰路、寄り道して石垣山も登坂した。
 家にもどったらさすがに気持ち悪くなって昼寝。目が覚めたらいい案配に夕方だったので、ラン11km。ただし途中、コンビニで激しい下痢一発。
 トイレから出てきた顔面汗汁パックの男に完全にビビったバイトの女の子は、まるで赤痢患者と対面したかのように、賽銭(さいせん)箱に放り投げるみたいな手つきで、義理買いジュースの釣り銭を寄越した。
 スイム2000m。下痢一発。


 三日目。朝七時に下痢止めを飲んでチャリを漕ぎだす。真鶴、湯河原を経て、1年半ぶりの椿ライン。オートバイでは何度も走った懐かしい道だが、チャリでは初めて。最新型から旧車まで、同じオートバイに3回ずつ抜かれた。つまりローリングしている彼らの6分の1のスピードということである。
 途中から土砂降り。一瞬晴れて、虹が見えたが、また土砂降り。
 大観山、芦ノ湖、お玉が池、とスコールのような雨がつづき、寒さで体は硬直。
 ふもとまで下りると晴れていたが、激しい水攻めでテールライトが壊れて消灯できなくなっていた。
 そのままラン8キロ、スイム1600m。帰着後、下痢二発。