警察署で一晩

 かつての教え子の結婚式で東京に行った。
 三次会まで出たら電車がなくなった。昔なら朝まで飲めたのだが、年のせいか、午前2時で早くも打ち止め。気がついたらひとり路上で寝ていた。
 北関東では氷点下の寒夜。
 あかん死ぬと思って、とりあえず煙草に火をつけようとするが、ライターがつかない。投げつけたら割れた。
 駅に向かおうとしたが、同じ所をぐるぐるまわるだけで、どうにもならない。
 ジャンパーのジッパーを閉めようと思っても、閉めれない。
 家に電話をかけてどうになるものでもないが、とりあえずかけようとしたが、電話番号が思い出せない。
 あかん、ほんまに死ぬと思ってたら人が立っている。
 棒を持った警察官。警察署の前だった。


 午前七時。あわただしく人の動く気配。何かと思って起き上がると、警察署の中で寝ていたのだった。