手賀沼を泳いで足をツる

(この記事に使用している写真はセマスレーシングのyamahiroさんの撮影によるものです)

 第3回手賀沼トライアスロン大会は小雨まじりの朝にカウントダウンでスタートが切られた。
 例年、会場を見おろす手賀大橋には、かつて水質汚染で日本ランキング常連の手賀沼を泳ぐ酔狂を一目見ようと大勢の見物客がいたのだが、今年は北京オリンピックの男子マラソンと時間がかさなっているせいか、ぽつりぽつりといる程度。
 スタートの合図とともに、いきなり左足指をツった。高校時代は手賀沼でクチボソを釣ったものだが、まさか20年後に自分の足をツるとは因果である。
 しかし最前列からのスタート。
 この位置で泳ぐのをやめると、後ろから次々と襲いかかられて、手賀沼のヘドロに沈められそうな恐怖を感じ、足指がへんな角度に曲がったまま泳ぐ。
 噂にたがわず、自分の指先さえ見えない。肘がかろうじて見えるぐらいだろうか。当然、前を泳ぐ人の足は見えない。こんなん、魚からルアーなんてぜったい見えんやん。初めて魚の気持ちが分かった。
 それにしても人間の方は密集で泳ぐから、つねに誰かとぶつかりながらになる。スイムに自信がないので、体が当たると「いや〜ん、やめて〜」という感じで、すぐ引いてしまう。そんなことをしているあいだに第一集団から少し離れてしまった。その位置でスイムアップ。

 自転車へのトランジションでは、コンタクトをはずす。サングラスに眼鏡を仕込んである。

 走りだしから、太股がツりそうな嫌な感触。ふくらはぎならまだしも、太股はツりたくない。じゅうぶんに水分を摂りながら、丁寧な入力をこころがけた。ペースは遅め。立ち漕ぎもしない。平均で40km/hに遠く及ばないが、このあと、ラン10kmが待っている。じつはちゃんとしたオリンピック・ディスタンスの距離をやるのは初めてで、どこまで出していいのか分からない。

 一方で、ものすごくモガいている人がいる。迫真の走りの主は、チームメイトの山さん。山さんは小田原合宿でも熱い男だったが、手賀沼でもやはり熱かった。

 チームメイトのジャージはよく目立つ。もう何年も前、チームでサイクリング中にクルマとの事故があって、それ以後、チームジャージは威嚇的なほどに目立つショッキングピンクにしようということになって決まった色だ。大会中は、この色を見ると心がなごむ。
 宮さまにも会った。

 ラバさんにも。

 片道4kmを5周回の40km。最後の4kmだけ積極的に漕いだが、ややロングスパート気味だったか、へたばっている。

 応援の声の中に「ちひろ〜!」という懐かしい声。高校のバドミントン部の同期がふたり応援に来てくれている。高校地区大会でも、同じ声に包まれた。走りながら、ふっと涙が滲む。汗のふりをして。
 なんと今回は東葛飾高校の同期生チームもリレーで参戦していて、その応援に同期生たちが何人も来てくれている。まさに同窓会の様相。
 ロケッツのチームメイトや、高校同期たちとの美味いビールのために、
 とにかく漕ぐ!

 走る!

 ラバさんも走る。

 かよぼんも走る。

 最終周回。笑ってます。頭の中は煙草とビールのことでいっぱい。ゼッケン、さかさまだし。(ゴール前には、どこかに飛んでいって紛失)

 足がツりそうになりながら、かろうじてゴール! 煙草だ! ビールだ!

 らばさんゴール!(なぜかうちの娘も同伴ゴール?)

 ロケッツ・レディースチームもゴール!

 ロケッツ・あんぱんマンチームもゴール!

 ロケッツメンバーと、セマスの記念写真。

 さあ、撤収。心の中は、ビールビール・・。

 結果は・・昨年の厚木トライアスロンにつづき、またもや地上の星
 狙いすましたかのように毎回、1つ差で総合入賞を逃す結果に、ワイフはあきれ顔。
「年代別1位って、なんや?」と実家の父と飲んでいるときに訊かれた。説明すると、
「なんや要するに佳作やないか。」
 親族のあいだで「万年佳作男」と言われているのは、僕である。