小田原地元のサイクリング同好会「ぐるぺっと」のツーリングに初めて参加。
会の掲示板には、「ぐるめツアー下田 午前6時集合」とだけしか書かれていない。
一泊で行くのか、それとも輪行か?
とりあえず輪行バッグを持って出発した。
参加者は僕を含めて三名。
「当然、日帰りですよ」と言われ、唖然。距離は?
「220キロぐらいじゃないですかね〜」と軽いノリ。超軽装。
しかも、箱根と天城峠を越えるルートをとるという。
登坂累計高度は3004mに及んだ。(3000m越えは初達成!)
熱海までは雨の中の強行軍。ペースも速い。ついていくのが、やっと。二人に風よけになってもらい、なんとか下田着。
東伊豆の海岸沿いはアップダウンの連続だったが、二人はアウター(重い方のギヤ)だけしか使っていない。
僕はインナー入れっぱなし、しかもリヤ側は27Tという弱気仕様。
(ちなみに彼らのアウターリングは53T、リヤは23Tという構成)
さらに、アウターだけでの天城越えは目からウロコ。
「ぐるぺっとって、実業団ですか?」と訊くと、
「ただのサイクリング同好会です」
ロードでのレース活動は、ほとんどしていないそうだ。
「だって走りたいところを走ればいいじゃない。レースにお金払わなくても」
うーん。チャリの原点とはいえ、競技指向が強まっていた昨今、衝撃的であり、反省させられる言葉だった。
夢中で(必死で?)走っているうちに、日も傾き、最後の箱根越えを控えた三島で、距離は180kmを越えていた。
「すみません、ぼくもう無理です。三島から電車で帰ります」
「だいじょうぶですよ。あいだにはさんで、ゆっくり走るから、いっしょに行こう」
と励まされ、登坂開始。
途中、何度もふたりは僕の方を確認し、「だいじょうぶ〜?」
「はーい、なんとか」
峠越えのあと、ぐるぺっとの拠点の酒屋さんで完走の祝杯をあげ、午後11時前に家路へ。
リーダーのアキオさんが心配だからと言って、ついてきてくれた。つくづく面目ない・・。彼はこのあと、午前3時に起きて海老名の職場まで行くのだと言う。
「やっぱチャリですか?」と冗談で言うと、
「当然」
「ほんとに?」
「ほんと」
さすがに大人として家まで付き添いしてもらっては恥ずかしいので、さんざん固辞して、家の1km手前で別れた。
国道1号線で信号待ちしていると、後ろでピカピカと自転車のライトが見えた。
うっ。やっぱり心配してついてきたのか、と思ったら、ただの見知らぬ折りたたみ自転車だった。
「この時間から、どこまで行くんですかぁ〜?」と走りながら訊ねると、
「まとまった休みがとれたんで、名古屋まで行きます。これから箱根を越えるのって、たいへんですかね〜?」
つくづく世の中には、すごい自転車好きがいるものだと啓示を受けた一日だった。