長年の「謎の島」正体解明

 小田原に移住してまもなく、とつぜん、南海上にぽっかりと大島が見えたときは驚いた。
 やがて大気の条件がよければ、大島の他にも、初島や、伊豆半島の大室山も海上に見えることも分かってきた。
 見える島もだいたい出尽くしたかと思っていたら、ある日、三浦半島沖、南東の方角に小さな島が浮いていた。
 この島は、年に数回しか見えない謎の島だった。


 真冬にはめずらしく二日つづいた激しい雨の翌日、その島は驚くほどはっきり見えた。カメラの望遠レンズでとらえると、稜線の起伏もくっきり。
 気温が急に上がったので、レンズ効果のようなものも働いていたのかもしれない。


 昨年手に入れた老舗シルバ社製の山岳コンパスを使って、正確な方向を確認した。このコンパスは地図上で一度確認した進むべき方向を、森の中でもビルの谷間でも示しつづけてくれるだけでなく、逆の使い方をすれば、今回のように目標物の方角を保存して地図上に再現することができる。(山岳のプロはこのコンパスをスコップがわりにして雪を掘ったりもするらしい)


 さて、コンパスが地図に落とした結果は・・
 なんと房総半島南端に位置する大山を指している。
 島ではなく山だった。平地でつながっている部分が見えないのは、水平線に隠れてしまっているのか、あるいは蜃気楼現象か何かで、大山の山体だけが海上に浮かび上がって見えるのか。


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