冬の角館と郷土料理


 関東にも冬将軍がやってきた。
 温暖な小田原でも雪が降り、富士山は巨大な妖怪のように真っ白になった。丹沢や箱根の山なみも薄い雪化粧に身を寄せあう。
 とはいっても町中の雪は水分が多く数時間で消える。先日、北国に行って、雪の質がちがうと実感した。きらきら光る微細な氷の粒のような雪は、とけることもなく、しんしんと積もっていくのだ。



JR角館駅は新幹線も停まるが、同じ線路を在来線も通っている。夜9時にもなると駅前にひとけはない。


内陸線角館駅は雪に完全に埋もれている。

角館の郷土食
天然のくるみの実が青くやわらかいうちに長竿で木から落とし、灰汁(あく)抜きのため20日間、糠水(ぬかみず)にひたす。水は1日で真っ黒になる。水替えは毎朝の仕事だ。灰汁抜きが終わると、自前の味噌や麹に2年間漬け込む。味噌は1年に1度すべて取り替える。じつに手間のかかった珍味だ。

「いぶりがこ」は、いわば大根の漬け物の燻製。漬け物なのにスモーキーな香り。酒がすすむ。

そのほか、ゆり根のおひたしや根曲がりタケなどの山菜といった郷土食だけで構成されたコースもおすすめ。


冬の郷土料理のシメは、きりたんぽ。比内鶏の濃厚なスープと、たっぷり盛られたセリのほろ苦さのアンビバレントなハーモニー。これが本場のきりたんぽである。

料亭「東海林(しょうじ)」(0187-54-2022)

秋田といえば、比内鶏
比内鶏の親子丼も、稲庭うどんと並んで人気のランチメニューだ。

角館の銘菓といえば、これ。
唐土(なまもろこし)は、秋田産の小豆でつくられた打ち菓子。上品な甘さがほんのりとひろがる。

武家屋敷通りの唐土庵で試食もできる。