晩秋の漁


12月に入っても海水が冷めにくいせいか、海に出れば寒さを感じることはなかった。
人生初となるイカ釣りに成功し、イカ専用のロッドも導入して豊漁がつづく。



獲れるのはアオリイカアオリイカはゴムみたいな食感がいまいちな感じで、イカといえば何といってもスルメイカに限ると思っていたのが、自分で漁獲してみて考えが変わった。イカは鮮度が命というが、獲れたてのアオリイカは刺身でも美味い。


舟の上で、釣れたイカを締めずにそのままたれに漬け込むワイルドな沖漬けにも挑戦。


アオリイカは刺身ではなく、火を通したときに本領を発揮する。
他のイカと違って固くならないのだ。大根といっしょに炊いても、おでんにしても、身はふわっと柔らかで食感抜群。


パエリア、スパゲティ、ちゃんぽん、八宝菜・・和洋中問わずイカの応用範囲は広く、加熱しても美味いから大漁時に冷凍で保存し在庫しておけるのもいい。これまでイカがそれほど好きでなかった細君と娘がすっかりイカ好きになってしまった。近所に配っても喜ばれる。

また意外なことにアオリイカの釣り味はへらぶなに似て、こくっこくっと竿を絞り込み味わい深い。釣り竿の穂先のわずかな戻りを視覚で察知し、すかさずアワセを入れる。手もとに感触が伝わらないほどの微細なアタリを視覚で捉えるところも、へらぶな釣りに似る。


2012年の12月中旬は、12月としては記録的な寒波に見舞われた。
寒波到来の前の週まで好調だったアオリイカが、寒波をはさんで、ぴたりと釣れなくなった。これからが厳しい真冬の漁である。