突き抜け語録
(書聖と呼ばれる王羲之の麗筆は)雲が飛び露が結ぶようにきれるかにみえてまた連なり、鳳(おおとり)が羽ばたき竜がわだかまるよう。 (王羲之伝) 書聖、王羲之の直筆は現存していない。 正確な写しとされる手紙にしても、「ちゃんと書類出してくださいよ…
人は、質が上がった時には意外とわからない。しかし、下がった時には瞬時にわかる (平野啓一郎・作家) 健康もしかり。 「東京の繁華街で黒々とした衣服の群衆が縦横に歩いているのを目のあたりにしたとき、黒い魚の群れを連想し、私もまぎれこんで遊泳して…
「今回の米大統領選を見て実感したのは、政治家とは社会の様々な集団や人々をつなぐ、あるいは鼓舞する、ある種のストーリー(物語)をつむぎ、与える存在だということです」 (渡辺靖・慶大教授) 多分に政治家は作家的なセンスも必要なわけだが、しかし、…
私はいつも最初にスポーツ欄を開く。そこには人類が達成したことが記録されている。第一面は人間のしでかした失敗ばかりだ。 (ウォーレン『名言の森』) 第三面は、小説より奇なり。 中高年って笑顔がきれいで、かわいいですよね。一生懸命、残った時間を生…
新しいものはすぐに「廃棄物」と化し、都市は「廃墟」を内に取り込みながら変転を繰り返すしかないのである。 (田中貴子) しかしながら、内包する廃墟的な陰がなければ都市は無毒無臭で味気ないものになってしまうかもしれない。 開業したばかりのスカイツ…
『揺らぐ』ということで、何かことが起こった時に、毎回新鮮な気持ちで対応する姿勢。いま必要なのは、この『風流』ではないか。 (玄侑宗久・僧侶・作家) こころをからっぽにする。いきつくところは、釣りである。
「夕日が沈むと、死ぬと思いこんでいる鳥がいるの。だから、朝、目を覚ますと、嬉しくて美しい声で鳴くのよ」 (ガス・ヴァン・サント監督『永遠の僕たち』 ) 黒服で知らない他人の葬式に参列するというのが日課という高校生が主人公の、ぶっとび設定の映画…
マラソンを走禅と呼ぶ人がいますが、釣りは竿禅(かんぜん)、あるいは釣禅(ちょうぜん)です。 (夢枕獏) 夢枕獏さんは年間70日は釣りに出ているそうだ。うち、多くは小田原の河川に出没するらしい。さいきんになって、釣れないときも楽しめるようになっ…
結局のところ、本当の自分を見つけるというのはソイツを見つけることなのかな。ソイツを見つけて、一緒になれば鳴子はきっと本当の幸せな自分になれるから。 (劇団ひとり「陰日向に咲く」) 日本ではあいかわらず「自分探し」ブームがつづいているが、そろ…
絶望は僕に当然の帰結として、自殺の思想を抱かせた。僕はプリニウスの、次のような言葉にいたく惹かれた。 「・・神といえども、決してすべてを成し得るわけではない。何故なら神は、たとい彼がみずからそれを欲したとしても、自殺することだけはかなわない…
世の中には、先を予測できない場合が二つある。一つは男が初めて酒を飲んだとき、もう一つは女が最後の一杯を飲んだときだ。 (O・ヘンリー) 今、いちばん予測できないもの。昨今の日本の政局。
小学生の頃、偶然テレビで見た「フレンズ」という映画を、最近よく思い出す。この映画は、ぼくや右近、それに大統領が生まれた年に撮られたもので、フランスの田舎町が舞台になっている。優れた映画だとは言えないが、生涯忘れられないだろう、あるシーンを…
この場合、愚痴はその心をいっそう掻き乱し、張り裂けさせることによって、わずかに慰めとなるばかりなのである。こうした悲しみは慰めを求めようとはせず、慰められることのない悲哀の情を餌に育ってゆく。愚痴は単にひっきりなしに傷口をつついていたいと…
いやぁ戦争は楽しかったねぇ。(by 居酒屋大学酒蔵のオヤジ) ワイフが送別会で帰りが遅いというので、夕食をつくるのをやめにして、娘と大学酒蔵に行った。 歩いて2分もかからないところにある居酒屋である。 吉野家みたいなコの字型のカウンターに90歳のオ…
「古い音楽をよく聴きます。新しい音楽とは、すでに存在しているものの上に成り立っている。古いものにちょっとした跳躍があると、内部で大きな変化が生じる。敵陣突破できる」(ミック・ジャガー) ロックンロールとともに走りつづけ62歳になってなお現役の…
そしていつも思う。社会をどんどん俗悪なものにしているのは私の世代なのだ。小学生の名前の変遷を見れば歴然とわかる。このクソ世代がやっていることが。 (絲山秋子『沖で待つ』「勤労感謝の日」) 2006年最初の芥川受賞作家になった絲山秋子さんは、日本…
<永き日の波の音せる紙芝居>や<さびしさは紙風船の銀の口>は、少年時代を回顧した句だ。こういうノスタルジーを後ろ向きの姿勢として批判する人もいるが、中年男はときに後ろを向くことも大事なのだ。自分が心地よく感じるものに素直になるのが、さしず…
忘れられた元エース、皆川の劇的復活。4年後は32歳になるが「年寄りになるけど、バンクーバーまではやりたい」。今度は、アルペン人生の完走をかける。 (朝日新聞) 思えば五輪でスキージャンプでメダルを獲得したフナキさんが表象台にのぼったときから…
スケートは楽しいし、愛している。だが正直なところ、少し馬鹿げているように思う。タイツをはいて氷の上を滑り回るために、生涯を費やすなんて。でも僕はスケートが速いおかげで、寄付を集めたり、世界の問題に注意を呼びかけたりできる。大きなことを成し…
「君は成功した。勝者だ」と言われるが、僕は常に負け犬の気分だ。薬を買う金がないだけで人々が死んでいく今の世界で、誰が勝者になれるというのだろう。 (ボノ 朝日新聞「ひと」欄) ここでいう薬というのは、ヤクのことではないし、負け犬といっているの…
「クラブで踊っていると、なんだか神がかったように頭がブッ飛んでいきます」 ふむふむ。私の頭の中でニイニイの説明は、わかりやすいように「一遍上人の踊り念仏」という言葉に変換される。 「そしてクラバーたちはだんだん、外で踊りたい、という欲求に突…
そして、口を「ポカン」と開けて眺めるのです。 どうですか? ま、自分がアホになったような感じもしますが、からだ全体から力が抜け、リラックスできるはずです。何十年か前の自由な気分が一瞬蘇っているかもしれません。頭を占めていた「知性」がどこかへ…
皆さん、金曜日はありがとうございました。 Mさん、幹事のお仕事、お疲れさまでした。 絶叫熱狂、そして誓いと祈りの忘年会、楽しかったです。 その後、私は始発を待ちながら松屋でゆうゆうとステーキ丼定食を平らげ、足どり軽くステップなぞ踏みながら電車…
およそギリシア悲劇は人間の「驕(おご)り」(hybris)と、それを笑う「運命の神」(moira)をめぐって転回する。 (後藤平『哲学とは何か』) およそわれわれの人生もそうであろう。 哲学とは何か―存在論の視点から (講談社現代新書 (663))作者: 後藤平出…
おそらく、人びとを愛する者の務めは、真理を笑わせることによって、真理が笑うようにさせることであろう。なぜなら、真理に対する不健全な情熱からわたしたちを自由にさせる方法を学ぶこと、それこそが唯一の真理であるから。 (ウンベルト・エーコ『薔薇の…
もし暗さがなかったなら、人間は己れの堕落に気がつかなかっただろう。もし光がなかったなら、人間は救いを望まなかったろう。それゆえ、神が半ば隠れ、半ば現れているということは、単に正当であるばかりでなく、有益なことである。(パスカル『パンセ』B5…
肉眼では見えない暗い星が無数にあることが、星空に不思議な奥行きを与えている (大平貴之<朝日新聞「宇宙にあこがれて6」2005.12.5夕刊>) ギネスブックに名を連ねるプラネタリウム製作者の大平貴之が、通常のプラネタリウムの500倍もの数の星を映しだす…
もう秋か! それにしても何故に永遠の太陽を惜しむのか。・・ (ランボー『別れ』) 師走である。もう一年か! 人生の加速度はますます歩速をはやめている。特にこの1週間は記録的な早さだった。以前の2日間ほどの感覚で1週間が過ぎた。 2005年を総括する…
陸にある秋のボートに乗つてみし (正木ゆう子) お堀端にボートが引き上げられていた。管理人もいない。思わずボートに身をうずめてみるいたずら心。 静かな水―正木ゆう子句集作者: 正木ゆう子出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2002/10メディア: 単行本この…
しかし、案外と彼ら、あるいは、業平(なりひら)は、旅の途上で、都から、恋人から、遠ざかれば遠ざかるほどいよいよもって募るその恋情を楽しんでいたのではあるまいか。とすると、それはすでに、和歌の世界であり、文学の世界となる。まさしく後世の漂泊…