敵陣突破

「古い音楽をよく聴きます。新しい音楽とは、すでに存在しているものの上に成り立っている。古いものにちょっとした跳躍があると、内部で大きな変化が生じる。敵陣突破できる」(ミック・ジャガー

 ロックンロールとともに走りつづけ62歳になってなお現役のミック・ジャガーの言葉。朝日新聞による来日インタビューより。
 ちょうど僕もまた、古典を助けに膠着した自陣突破を考え、人生課題として名高い「マールセール・プルースト読破」を試みていたのであった。
 完全訳が文庫で出たし、訳者が著した読破サポートの新書も合わせて読んでいたのだが、1週間にして挫折。チャレンジしているということにおいてのみ豊かな甘美さがあったものの、苦痛とまではいかないまでも、今の自分には時期尚早であった。
 明確な収穫としては、老後の世界旅行の際に、クイーンエリザベス2世号の中で読むべきものだと分かったこと。ヨーロッパ文化に対する憧れと土着的実感なしに読むのはもったいない。今の自分は、この日本で精一杯である。

失われた時を求めて〈1〉第一篇 スワン家の方へ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

失われた時を求めて〈1〉第一篇 スワン家の方へ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)


プルーストを読む―『失われた時を求めて』の世界 (集英社新書)

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