弟とトライアスロン体験合宿

 弟一家が小田原に遊びに来た。
 最初に言っておくと、弟はダメ人間ではない。まっとうなサラリーマンであり、一男一女の良きパパであり、三人目も近いというし、熱心なカラテ家でもある。性格は温厚で奥行きがあり、年齢とともにさらに成長している感もあり、何より弟が殊勝だったのは、三歳違いの兄を生涯の反面教師としたことだ。
 土曜日。渋滞を乗り越え、弟一家が小田原に到着したのが午前11時。
 さっそく海で300メートル泳いだ。
「アニキ、準備運動は?」
「泳ぎながら」
「トライアスラーは言うことが違うな」
 ついでプールへ移動して500メートル。
「なんか、ちょっとツカめてきた」と弟。
 オートバイ談義になり、新型車の動向でも見てこようということになって、そのままランニングでオートバイ屋へ。往復3キロ。
 日が傾き少し涼しくなってきたので、チャリを出して箱根へ。走りながら、ギヤチェンジのやり方をおしえるが、ギヤが変わらん、と言いはる。
 コンビニでチェックすると、前のギヤが外側(高速側)に入ったまま動かない。
「こりゃ箱根は無理だよ」
 と言ったのだが、行けるところまで行ってみると言うので、傾斜のきつい旧街道ルートを箱根駅伝ルート(国道1号)に変更して登坂。芦ノ湖まで気合で登りきった。夕日がきれいだった。



 帰還後は夕飯をはさんで、二家族を酒匂川花火大会会場までクルマで送り、僕と弟はクルマを自宅まで戻し、ランニングで再び花火大会会場をめざす。2キロ走り、到着しようとした瞬間、携帯電話が鳴った。
「花火、終わっちゃったよ」とワイフ。
 汗だくの兄弟は現実を受け入れられず、道幅いっぱいに流れてくる人波を逆行して進んだ。家族と合流し、彼女らはタクシーで自宅、僕と弟は駅前の居酒屋をめざし、またランニング。
 午前2時に散会。
 翌朝はチャリ2機で石垣山登坂。達成。
 午前10時、弟一家はさわやかに帰って行った。途中、二宮の旧友宅に寄って、飲み会だそうである。