大井くんから年賀状が来た。
大井くんの賀状は毎年、同じような図柄である。よく見ると干支が変わっているが、同年代のほとんどの人たちの年賀状のように子どもの写真があるわけでもなく、メールアドレスや電話番号が記されているわけでもない。
印刷して売られている素っ気ない図柄に、手書きで宛名と短いコメント。これが大井くんの年賀状の変わらぬスタイルである。
大井くんは月着陸船から鉛筆まで、なんでも作っている大きな会社に勤めているから、メールアドレスぐらいあると思うのだが、彼と連絡したいときは、手紙に頼るしかない。そんな古風さが似合う大井くんのあまりうまくない文字でこう書いてあった。
お元気ですか?
今年はウルトラマラソンに参加しませんか?
(4/(ママ)末の熊野の大会は如何?)
このときを待っていた。大井くんから誘われる日を。
しかし、熊野のウルトラマラソンは想定外だった。なんといっても「熊野」はただのウルトラマラソンではなく、山岳での100kmマラソンである。
ハセツネカップ(山岳70kmマラソン)は出たいと思っていたが、いきなり100kmの山岳マラソンとは。
用具を揃えなければ。
奥熊野100kmマラソン公式ホームページ
http://okukumano.com/index.html