30代最後の日に

「一生の半分はずっと十五歳さ。そしてある日二十代が始まったと思うと、次の日にはもう終ってる。そして三十代は、楽しい仲間とすごす週末みたいに、あっというまに吹き抜ける。そしていつのまにか、また十五歳になることを考えてる」
(『ホテル・ニューハンプシャージョン・アーヴィング


 30代最後の日となりました。
 オートバイの点検でバイク屋さんの前で煙草を吸っていると、つるっぱげの怖そうなおじさんから声をかけられました。第一声、
「おとーさん。そのクツ、バイク用?」
 知らない人に「おとーさん」と呼ばれたのは初めてのことで、ちょっとたじろいでしまいました。
 シューズはトレイルランニング用でしたが、おじさんはすごく気になっているようでした。
 道なき道を進み、オートバイでもMTBでも進めなくなったら、足で走るためのシューズです。シューズのみならず、上着から下着、ザックにいたるまですべて山岳用。40代にむけて確立したスタイルですが、15歳っぽいといえば15歳っぽいかな。
 おじさんは大型免許をとったばかりで、何を買おうか迷っていて楽しそうでした。
「バイク乗ってる女の人は、性格のいい人が多いですよね?」
 と、うれしそうに言うので、
「変わってる人は多いと思うけど、昔ほどじゃないかな」
 と、やっぱり昔話をしてしまうのだから、やっぱり完全に私は「おとーさん」になっているようです。
 おじさんが行ってしまったあと、トイレで下の毛に三本の白髪を発見。なぜか寄り添うように三本。
 30代後半からヒゲ、鼻毛と白髪がまじるようになり、最後の砦(とりで)となっていたここまで・・。よりによって今日発見するとは。
 完全に「おとーさん」な気分です。


 さて引用のアーヴィングに合うような写真がないかと思っていたら、PTA友でありバイク友であり釣り友であるつかさんから印象深い写真を送ってもらいました。

(撮影:つかさん)



 おじさんが気になっていたシューズはこれの赤です。


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 私のは2008年モデルですが、新型には防水モデルもあるみたい。オートバイとの兼用にするには防水の方がいいかもしれません。