のされないトレーニング

 ふなつりも、すこしずつ上達してきたが、糸鳴りするような大物がかかると、たいていバラしてしまう症候群に陥っている。糸がきりきりうなりをあげるような大物は50〜100枚を釣って1回程度。そんな貴重なチャンスを、ことごとく失敗する悔しさ。
 たいがいが、竿をのされて糸がばっつんのパターン。
 ふなつりはリールのない竿一本勝負なので、魚にひっぱられて腕と竿が一直線にのびきった状態になってしまうと、そこから先は「ため」がまったくきかなくなるので、突っ走られた瞬間に糸を切られてしまうわけ。これを「のされる」という。
 のされないためには、とにかく竿を上に立てなければならない。
 竿さえ立っていれば、竿の反発力で魚の突発的な動きを吸収できる。ぐぐっと絞られた竿の復元力で魚が水面にあがってくるのを待つ。強引に引いても糸を切られるだけ。
 とにかく竿を立てる。これがだいじ。
 ところが安物の竿では先っぽだけがやわらかくて元の方ががちがちだったりするので、大物がかかるとなかなか竿を立てられない。そこで負荷量に応じて先から胴へとスムーズに曲がりつつ反発力が増していくような竿が理想的である。
 とにかく立てるためにはやわらかめの竿がいいかと思って、胴調子の竿を買ってみたが、あわててしまうのか、大物がかかるとどうもだめ。
 そこでブルドーザーみたいなパワーのある鯉をつることで、のされないトレーニングをすることにした。
 さすがにやわらかいへら竿では鯉は厳しいので、鯉用にパワーのある短竿を買った。シマノ社のへら竿の歴史上、最強の硬さランクを誇る「飛天弓 頼刃」という竿である。


 さて、ひとつめの山本園。
 室内釣り場もあり、こじんまりとしている。
 しかしこじんまりしすぎて、9尺(2.7m)の短竿でも長すぎる感じ。で、ここは視察だけで、すぐ近くの別の鯉つり堀に移動。


 岡崎つりぼりセンターは先の釣り堀からクルマで10分ほど。やはり住宅街のなかにある。
 鯉つり堀は、へらつり堀とちがって、どこかのんびりした風情がいい。地元の子どもたちも釣り糸をたれている。
 飛天弓・頼刃は鯉のパワーにのされることもなく、有無をうわせず浮かび上がらせる。だれもが魚と格闘するときは立ち上がるなか、すわったまま竿をたてれば、あっけないほど簡単に魚が浮かびあがってくる。噂にたがわぬパワーロッド。驚いた。
 一尾だけ頼刃をもってしても、のされて0.8号のハリスを切られた。切られた衝撃でウキが折れてしまったのが痛い。
 2時間で6kg釣った。つりの料金は後払いで、釣った魚の重さに応じてキャッシュバックあり。割引適用でエサ代込みで800円だった。