小田原では祝祭の3日間が終わり、
のぼりや提灯で彩られ、法被、半纏姿の人々が練り歩いて国道も、
朝起きると日常の景色にもどっていた。
娘は窓の外を見て、ぽつり。
「1号線がふつうの道になっちゃった」
ぽっかり心に穴があいたような感じだと言っていた。
娘の友だちは、朝いちばん、家の外に出て、通りに渡された白いひもが残っていないか見てみたそうだ。
祭りのあいだ、神輿が通るところには、路地の奥にまでは白いひもが張り巡らされていた。
「ちょっと泣いちゃったよ」
と思い切って告白した娘に、友だちも、うん、わたしも、と言った。