読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

SRC花見ツーリング

ここ半年のバトルツアーはすべて自転車。つまりオートバイのツーリングは半年ぶり。SRCとはセーフティーライダースクラブの略で、7年ぐらい前の創始時から所属しているオートバイのツーリングクラブである。
 今回のSRCツーリングは福島県三春に滝桜を見に行こうというもの。当日の参加車は10台以上にのぼった。このクラブが他のクラブのように分裂やら内部崩壊が起こらずにここまで来ているのは、創始時から貫かれている精神によるところが大きい。つまり基本的にはフリー走行。好き勝手に走っていいし、実際に目的地に着くまでほとんどソロツーリングだったというのもめずらしくない。目的地にさえ着かない者がいたり、走っているうちにはぐれて台数が減っていったりは日常茶飯。それじゃ集まる意味があるのかと言えば、少なくとも気楽に走るきっかけにはなるし、うまい空気と煙草を吸いながら誰かと語らうぐらいの意味はある。逆に言えばオートバイ乗りが集まるのにこれ以上の意味は必要あるのかは疑問だが。
f:id:cippillo:20130404131004j:plain
●最新オートバイひしめく。
f:id:cippillo:20130404131005j:plain
●案内人の俵師匠と、SRC創設者の鈴木さん。SRCツーリングは、だいたい僕ら3人が先頭集団を形成。ふたりとも、もう10年以上のつきあいになる
 このツーリングの先達は、もう15年来のオートバイの師でもある俵師匠。ルートは長年の研鑽によって磨き抜かれた奥山の細道。なので信号なし、渋滞なし、取締なしの三無ロード。しかし、地元の1200CCのバイクをそろそろと抜いたら、プロジェクターライトがチカッと光輝を放って迫りきた。最初のコーナーでいきなりバックミラーの中を横滑りでがしゃーん。
 ドカのコーナリングラインは仲間内で「トラップ」と言われる。直線的に突っ込んで、かくっと曲がる。エンジンとフレーム特性上しかたない所作なのであるが、マルチ乗りにしてみれば後をついていくと必然的にトラップになってしまうわけだ。悪気はないんだけど。
f:id:cippillo:20130404131003j:plain
●阿武隈高地の山岳ルートを北側よりのぞむ。GPSナビで取得したデータをカシミール3Dでレンダリングした。ルートの色分けは標高による。
 このあと、仲間うちでもう1件の転倒事故。ガードレールをはずしてようやくオートバイを引っ張り出す。人間は無事で僥倖。壊れたオイルクーラーの修復に活躍する元バイク屋メカニック。
 というようなことで、目的地の花見には達することができなかったが、何にもない田園でひさびさに、のぼーっとできた。人ごみの花見より、よほど花見らしくてよかったかもしれない。
 そしてまた帰還後のビールのうまいこと! さらに異様なまでの高揚感と充足。ほろ酔いと疲労でぼわぁ~とした至福の境地。しみじみ、大人っていいなあと思ったりした。自発的にビールを飲みたいなんて思ったのは、オートバイのツーリングのあとだけ。
 ビールを飲んで「ああ、んまい」と思うのは、このぼわぁ~っとした疲労のおかげだが、これは自転車の疲労とも、仕事の疲労とも、まったく違う。超高速移動という特殊な状況下における脳内麻薬エンドルフィンのせいにちがいない。日常では考えられないぐらいの集中度で精神統一している。年々いろんなしがらみや懸念が増えていく中で、10時間以上にわたって何も考えない時間を持てるというのは、オートバイ乗りの特権だろう。もしオートバイというツールがなければ、そうとうの荒行修行を積まない限り、12時間にわたる「没我」は手に入れられないし、だからこそ花も団子も皆無の花見ツーリングでも、これだけの満足があるのだろう。