雨は移動日とわりきる

「マドカ、今日はクルマの中で寝るかもしれんからな」
 これだけ強い雨が降りつづけるなら、いっそのこと走りまくって北をめざしてみようかという気になった。キャンプをやっていると、ついつい動きたくなくなる。上陸三日目だというのに、まだ札幌にも至っていない。最北端の宗谷岬なんて、もうどこの星の空の下、なんていう気持ちになっていたが、こうなったらやったろやないけ。
 睡魔がすさまじい。クルマに乗るとすぐに寝るマドカが上陸後はわりかしずっと起きている。そうでなければこちらも持たなかったかもしれない。窓を開けたり、煙草を吸ったりしてしのぐ。(ほんとは車中喫煙はしないことにしているのだけれども、戦時体制の例外措置である)
 北上しはじめると、とことん進んだ。初山別で温泉にもありつけた。大沼で会った讃岐ライダーに初山別キャンプ場はぜったいにはずさん方がええとのお墨付きのキャンプ場を見に行ったが、台風で吹きさらしの海岸にあって断念。
 北上をつづけ、天塩の鏡沼という落ち着いた感じのキャンプ場にビバーク。雨はだいぶ小やみになっていたが、ぐちゃぐちゃになったキャンプシステムを再構築する必要がある。2500円でログハウスを借りて、室内にびしょ濡れのテント、シュラフ類を干し、道具、小物、衣類、仕事関係の機材をすべて整理し直す。雨の日のキャンピングのときは、スピードが鍵になることが痛いほど分かっただけに、必要なものと不必要なものとを厳しく線引きし、だいぶモノを減らした。
 おかげで新たに加わったウォータータンクと炭を入れても、まだかなりトランクに余裕ができた。大きな忘れ物をしてしまったのではないかと思ったぐらいだ。シュラフふたつを車内からトランクに移し、車内での居住性も上がったし、いざ撤収というときもスピーディーにやれるだろう。洗練度は日々上がっていく実感がある。これが生きてくってことなんだなあ。
 天塩はしじみしかない町である。でも、いい加減どこに行っても、ウニにカニ。しじみなんて、天塩、渋くていいぞ。夕食のしじみ丼は地元の定食屋で食った。観光向けじゃない店なので、インプレッサを横付け。600円。これぞ北の喜び。家に帰ったら、さっそく定番メニューにしよう。
 
走行:395km
食ったもの:アマエビ天丼、みそラーメン、しじみ丼
ブラッシュアップ項目:機材、道具類の見直しとリパッキング。