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究極の小型カメラ

 小田原という町は、お堀ばたを抜けてスーパーに買い物に行ったり、葉巻を物色しに商店街を逍遥したりするだけでも、思わずカメラを向けたくなる場所にあちこちで出会う。とっさに撮影できるよう400万画素の携帯電話つきカメラを持ち歩いているが、かなりよい条件がそろわないと、思い通りの写真にならない。この小さな感興を伝えたいなあと思う被写体のアウラが、写真にはぜんぜん出ていないことがままあってがっかりだ。
 一眼レフデジカメEOS20Dを持ちだせば文句なしだが、フル機材で11kg、買い物がてらってわけにもいかない。今の1100CCのオートバイでも一眼レフと三脚は積めない。お気に入りのマンフロット社製のマグネシウム雲台とカーボン三脚がぴったり収納・積載できたという利点のためにゴールドウィングという1800CCのオートバイを使っていたこともある。(オートバイを買うときに、わざわざ三脚を持って行き、収納できることを確認してからサインした)
 それが今はクルマの免許をとったので、一眼レフはもっぱらインプレッサで運ぶ。
 しかしながら自らの肉体をレーシングエンジンへと鍛えあげ、文明利器をチョッパーする(切り捨てる)エコロジカルな人間退化を実験している身としては、カメラのためとはいえ、クルマに頼っているようでは明日はないのである。とはいっても夏の北海道において、一眼レフ機材一式を背負って駆け足し、観光馬車の輓馬(ばんば)野郎とバトルした際に、おのれの圧倒的非力に打ちのめされたものだ。限界を感じたのだ。
 となるとカメラ自体をチョップするしかないという結論に行き当たった。
 ペンと紙。とりあえずこれだけで済む。が、問題は面倒くさいし時間がかかるし、ある程度はうまく描けないと、感興を伝えるどころか、「なんですのん、これ?」ということになってしまい、まったくもって無意味。
 5分で感興を伝える絵を描く。これを目標に鍛練をはじめたわけだが、そんなときに出会った良書があった。
 東大工学部卒の技術士であり一級建築士が著した本である。画家が描いた指南書ではないので、アバウトで気軽なところがすごくよい。物を見るという行為自体から見直すよい刺激にもなるので、絵を描こうという人以外にも得るべきところはありそうだ。