中年の後ろ向きは大人の文学のテーマ

<永き日の波の音せる紙芝居>や<さびしさは紙風船の銀の口>は、少年時代を回顧した句だ。こういうノスタルジーを後ろ向きの姿勢として批判する人もいるが、中年男はときに後ろを向くことも大事なのだ。自分が心地よく感じるものに素直になるのが、さしずめ大人の文学のテーマであるといってみたい。
(仁平勝「時評歌句詩」朝日新聞2006)

 いおうよ。中年の後ろ向きは大人の文学のテーマである。ヤホー!
 

恋も反逆も重要なテーマでなくなったとき、それまで価値を認めなかった日常のささいな出来事が、人生にとって大事なものであることに気づく。俳句ははそうした第二の発見を楽しむ詩型だ。
(仁平勝「時評歌句詩」朝日新聞2006)

 半径五歩の幸福。