大井くんと100km山岳マラソンin熊野

 ついに来たのである。
 大井くんからの連絡。郵便以外の古風な通信手段を持たぬ大井くんが、ケータイメールで連絡してきたので、かなり意表をつかれた。
 かつて、彼から郵送されてきたウルトラマラソンの誘いを辞退してからというもの、二度と声がかからなかった。(あたりまえだ! いったい誰がとつぜん100kmいっしょに走りませんかという問いに、はいそうですね、と返答できよう!)
 それ以来、アイアンマンにも挑戦し、着々と準備を進めていた。
 しかし大井くんからは再び連絡はなかった。

千尋殿 お久しぶり、大井て゛す。 奥熊野のウルトラマラソンは如何ですか? 下名は参加を検討していますが、一緒に如何ですか?


 三年ぶりの連絡が、たったこれだけである。
 しかし、心中、


キターーーー!!!!


 奥熊野ウルトラマラソン・・平地の100kmマラソンでさえ想像の域を越えているのに、ましてや山岳の100kmマラソン。正直、かなり準備不足。まずは平地主体のサロマ100kmを完走してからと思っていたが、ここで辞退すれば、また何年声がかからぬか知れぬ。三年、待ったのだ。
 返信。

やりましょう。奥熊野。
市原


 三年ぶりとは思えぬこの超短信に、私の思いの丈が読み取れるでしょう。

御意に。 早速申し込みます。ちなみに、本日、犬山ハーフマラソンに元ちゃんと走ってきました。。大井


 この「元ちゃん」と、大井くんと僕とは、高校時代のトランプ仲間である。
 運動会をさぼってトランプ・・合唱祭の練習をさぼってトランプ・・体育をさぼってトランプ・・あまりにも高校の輝ける三年間を無為にトランプばかりやっていたものだから、学年主任が発行する学年新聞に「明日を語れぬトランプ仲間」という見出しの記事を書かれた。(そうは言いつつ、僕は高校二年後半からは、ドラゴンクエストをはじめとするファミコンゲームのせいで、あまり学校に行かなくなってしまったので、トランプ仲間さえもドロップアウトだったが)
 明日は語れぬトランプ仲間も、二十年後にはウルトラ仲間になっていたりするのだ。
 さて、100km・・ほんとに困った。


●奥熊野ウルトラマラソン公式ページ
http://okukumano.com/