12時間の没我空間

cippillo2005-04-17

 半年ぶりにオートバイのツーリングに行ってきた。
 三春の滝桜*1を見に福島まで11台で走ったのだが、実際には飛び込みのチャレンジャーを含む2機がコーナリングで転倒し、修理や対応やらで目的地には到達できず、昼飯もコンビニで、ただただ山中でぼぉ〜っとしていただけだった。
 それだというのに、帰還後のビールのうまいこと! そして異様なまでの高揚感と充足。ほろ酔いと疲労でぼわぁ〜とした至福の境地。しみじみ、大人っていいなあと思ったりした。自発的にビールを飲みたいなんて思ったのは、オートバイのツーリングのあとだけ。
 ビールを飲んで「ああ、んまい」と思うのは、このぼわぁ〜っとした疲労のおかげだが、これは自転車の疲労とも、仕事の疲労とも、まったく違う。超高速移動という特殊な状況下における脳内麻薬エンドルフィンのせいにちがいない。日常では考えられないぐらいの集中度で精神統一している。年々いろんなしがらみや懸念が増えていく中で、10時間以上にわたって何も考えない時間を持てるというのは、オートバイ乗りの特権だろう。もしオートバイというツールがなければ、そうとうの荒行修行を積まない限り、12時間にわたる「没我」は手に入れられないし、だからこそ花も団子も皆無の花見ツーリングでも、これだけの満足があるのだろう。

*1:ぶんぶん新聞「バトルツアー」参照http://www.bunbun.com/tour/tabibase/tabibase.cgi?action=itemview&id=32