エヴァンフェリスタ喫煙法が天声人語に

若い日のたばこ依存からの転機は、ひどい二日酔いの朝に来た。たばこも見たくない状態で、ふと、いつまで吸わずにいけるか試そうと思った。3日たち、1週間たっても特につらくはない。以来延々と、20年以上続いている▼もっとも、年に数本、火をつけることがある。モームの大人の世界とはほど遠いが、大人の小さな玩具として。たばこはきっぱりやめるに越したことはないが、休み休みでもいいのではないか。(朝日新聞「天声人語」2005/11/10)

 公の新聞、しかも天声人語にこれを書くのはたいそう勇気が必要だったはずだ。
 この書き手はぜったいに「きっぱりやめるに越したことはないが」とは思っていない。禁煙は何かの拍子に崩れることがある。何かを禁じる、抑制するというのは案外もろい。依存がよくないのであって、依存せず、いい距離を保てればいちばんいい。男と女も同じ。