箱根ダブル登坂

 早朝、箱根チャリ登坂。
 前夜遅くまでかけてトライアスロン用チャリを仕上げたので、その試走を兼ねる。
 サドル、リヤホイール、サドルバック装着型ボトルケージ、エアボンベを実戦用に。しかたがないが、かなり重いチャリになってしまった。
 ハンドル位置も10mm下げ、逆にDHバーの位置を10mmアップ。リヤのスプロケを12-23から12-25に変更。能登半島の珠洲トライアスロンのハードな山岳コースに照準をあてた。
 いつもの箱根旧道を登坂する自信がなかったので、イージーな箱根駅伝コースで登るが、つらかった。これまで愛用していたオルベア・オルカは、スペインのバスク地方の山岳を登坂するように設計されたチャリ。峻険な旧道ルートでもぐいぐい登る感じがあったが、サーベロP3カーボンというトライアスロン用チャリは、フレームが固く、踏んだ分だけキッチリ、ビタ一文まけねーぜ、という感じで、オルベアのようなイタワリがない。そもそも平地を速く走るためのチャリだから、しかたないが。
 標高700mを越えたあたりから濃い霧も出てきて、だんだん登るのがイヤになってきた。
 どうにか国道1号最高点874m到達。




 オルベアだったら、ものたりない駅伝ルートが、こんなにハードとはね。とほほ。
 しかし、下りは速い。もうチビりそうなぐらい速い。
 家に帰還すると、すでにばっちりチャリに乗る準備をして待ちかまえていたワイフと娘。
 どこに行きたいか訊くと、箱根。とほほ。
 ふたりはチャリ、僕はランニングで、再度、箱根アタック開始。
 彼女らにとって新記録の大平台駅まで登坂。
 下山後、漁港の観光市場に寄って昼飯。滝の汗。生ビールが五臓六腑にしみわたる。あたりまえだ。
 帰還後、間髪置かず、娘がせきたてる。
「みんな、海に行くよー!」
 小田原に来てから、娘は無類の海好き少女である。ウェットスーツを着て、御幸が浜海水浴場へ歩いて行った。
 お、今日は海水浴客が多い。ギャラリーが多いと馬鹿もやりがいがある。10周! と意気込んで波にダイブしたが、首が痛くて4周でダウン。コースロープとブイのレイアウトがなんか先週と変わっていて、実質1200mぐらいだろうか。
 ウェットスーツで首がこすれて、塩水でひりひりする。トライアスロンのロングをやる人は、多くが首筋にケロイドのような傷を負っているが、ウェットスーツで擦れるためだと言っていた。そんな馬鹿な、と思ったが、これは真剣に対策を考えないといけない。痛いの、つらいの、だいっきらい。だめ人間だもの。
 夕食後、ワイフが真顔で走りに行かない? と言いだした。
 ほんとですか。娘はチャリ、ワイフと僕はランニングで、やむなく6キロ走った。ところが家の前で、ついカッコつけて、
「おれぁ、もうチョイ走ってくらあ」
 と言ってしまった。ほんとは、ちょっと先の販売機に煙草を買いに行くだけのつもりだったのだが、
「うわー、おとーさん、カッコいい!」と黄色い歓声。
 気をよくして、つい、
「ま、もう一周ってとこかな」
 って、うらぁ何言ってんだ、おめー。
 箱根と合わせて、けっきょく18キロ。このへんがどうやら僕の限界らしく、最後はひょれひょれ。
 8月の珠洲ハーフトライアスロンのランは23キロ。正直、完走が危ぶまれるが、どっちにしてもやれることしかやれないので、やれることをやってみよう。あと1ヶ月。