そして、この強烈な筋緊張をともなう行為を行なうときの努力感が、自分は有効なことをしているという満足感をも生み出す。その努力こそが有害なのだとは、人はなかなか思いにくいものだ。ある程度までは実際に有効なのだから、なおさらである。
「努力感中毒」という症状を、最近、よく見る。
特に真面目な人にとって、努力感は麻薬みたいなもので、注意しないとすぐとらわれてしまうし、なかなか抜け出せない。ある程度までは実際に有効なのだから、なおさらである。
でも、努力感に浸るのは、安易で心地よい至福の世界でもある。
トップアスリートたちの競りあいは、それぞれの限界を破りながら能力をより高めていくプロセスであり、その限界を設定しているものが、なんらかの思いこみや習慣であるとすれば、競技はみずからの意識の枠をいかに破るかという闘いでもある。
意識の枠を破るのは、現実に生きて、はたらいている身体である。
頭で書くのではない、筋肉で書くのだ。
突き抜ける悦び。
常識的な身体の動きから身体自身を覚醒させ解き放つ甲野理論は、正直、活字ではよく分からない。これこそDVDにしてほしい。
甲野ズ・ブートキャンプ(DVD7枚組・甲野バンドつき)
- 作者: 甲野善紀,田中聡
- 出版社/メーカー: 新潮社
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