先日、横浜でビモタというイタリヤ製オートバイク乗りたちの夜会があった。
バブル時代、学生だった僕は運送会社でアルバイトをやりまくってビモタを買い、この会のメンバーになった。
昨年のアイアンマン・ジャパン・トライアスロンの際に、会場まで遊びに来てくれた、というだけでなく、五島列島酒池肉林ナイトツアーにまで同行してくれた脳外科医もまた、この会のメンバーであり、今回は彼が学会で横浜に来るということで、横浜での夜会がもたれたのだった。
五人の元ビモタ使いが集まることになったが、エンスージアスティックということでいえばこれ以上はないであろうという彼らに「今、おもしろいオートバイクは何か?」というきわめて素人っぽいインタビューをぶつけてみたところ、
「いやぁ、さいきんはおもしろいの、ないねえ」
という返答が来るものとなかばあきらめていたら、意外にも、
トライアンフ社製の3気筒675CCがハンパでなくオモシロイ!
という明快な回答を得た。
そんなすごいオートバイクをなぜ買わないのかと訊ねると、ズバリ、
すごく、ちゃっちい。100万そこそこで国産より安いけど・・
とのことであった。
100万が安いかどうかは別として、エンスーな彼らは、もともと何百万もするオートバイクを何百万もかけて改造し、それを惜しげもなく峠で散華させることに無上の美学があり、オートバイクもまた官能的な美しさと暴力性、そして飽くなき浪費性が求められるのだ。
しかしバブル以降、時代の流れとともに転落の一途をたどり、今や高騰するガソリン代にも窮し、カワサキ乗りならぬ、ただのカワサキ持ちに堕している僕には、ちゃっちくて安くて小さくて軽くて粗雑でおもしろいオートバイクは、ひさびさにココロ踊るものがあった。
調べてみると、確かにちゃっちいらしい。玄人なインプレッションを探しても、確かにたいがいは「おもしろいけどちゃっちい」というものばかり。
しかしながら、昨今は中古のボロ軽商用車をこよなく愛し、道ゆく軽商用車、駐車中の軽商用車たちにあまねく熱い視線を送らずにはいられない僕にとって、そのちゃっちさに激しくそそられたのも、また事実である。
調べるうちに、675CC3気筒のエンジン構成はそのままで(パワーは若干、落としているものの)、さらにちゃっちくて安い車種が出ていることも発見。それが写真のストリート・トリプルだ。(写真はフルオプション仕様でちょっとカッコよさげに見えますが、ノーマルのちゃっちさはすごいのです)
しかもキョーレツにカッコわるい。しかも緑だ。
しかも3気筒675ccって、よく考えたら、うちのボロ軽自動車とほとんど同じエンジンだ。
しかも、飲み友だちのつかさんが乗っているカッコわるくて変態ちっくな黄色のオートバイクとそっくりだ。排気量もエンジンもスタイリングも。
ひさびさに、ときめいたオートバイクであるが、残念ながらデビュー間もないらしく、ボロくて安い中古車はまったく出ていない。
さて、横浜夜会の方であるが、散会となったあと脳外科医とふたりで横浜の夜を一晩練り歩きつつ探険し、これまでちゃっちいと断じていたチャイニーズ婦女子のレベルの高さに感心させられたのであった。さすが中華街の町である。