地震ショックでオートバイ買い替え

 東北大地震で半分以上の死者と行方不明者が集中したのが国道398号線である。(397号でも1人死亡)
 地震の起こる1時間前に僕が通過した道は、国道399号線。地震と関係なく、そのときすでに399は通行止めになっていたため、やむなく荒れた派生林道に入りこんでしまい、心底泣きそうな思いをした。
 地震が起こったのは、林道をなんとか無事に通り抜けてまともな道に入り、やっと見つけたコンビニでほっと一息ついていたときだった。
 最近、登山に目覚めたこともあり、今回の行程では山ばかり気になったが、ちょっとしたタイミングの差で何かがあったか分からないと思うと、山の厳しさを刻み込まれた。
 帰路もずっと山のことばかり考えていた。
 山をはじめる以上、ある程度の覚悟は必要だ。娘が大きくなったら、オートバイはいいが、山だけはだめ、と言おうと思っていたぐらい、僕にとって山は危険の代名詞だった。だがやることで学べることも多いはずだと思うようになった。
 荷物を背負っていくつもの山を越えて走り抜く力が、地震列島日本では必要だ。山やルートに対する深い知識、サバイバルの技術、用具のブラッシュアップ。


 東北から帰還の翌日、迷うことなくオートバイを買い替えた。
 排気量は6分の1、馬力は10分の1、年式は20年!も古くなったが、売り買いの差額でもどってきた金で最高峰の山岳ザックとゴアテックス軽量カッパ、それと山岳地図数種類も買った。(クルマもジムニーに買い替えたいぐらいだ)
 5リットルの水とトレッキングポール、そしてフライフィッシングの道具を入れた山岳ザックを背負い、登山靴で乗れるオートバイク。
 トレイルバイクとトレイルランニングを組み合わせた、新しいスタイルが生まれた瞬間である。