知床をチャリで無着陸横断


 午前5時起床。夜来の雷雨はあがり、静かな朝だ。今日は知床をめざす。世界遺産に登録されたばかりで混雑が予想されるので、早めに出立することにした。
 ワイフの運転するインプレッサは午前10時には知床、オホーツク側の玄関であるウトロに着。自転車ルイガノ号を母艦から切り離し、高低差800m延長31kmの知床峠越え(知床横断道路)へと出撃。4〜8%の勾配が延々とつづく。前には雲を冠した羅臼岳、後ろを振り返ればオホーツク海。想像していたほど交通量はなく、こうやってチャリでちんたら登坂していると、原生林から熊がでてくるんじゃないかと怖い。ほとんど下を向いて力走していて、ふと顔を上げると目の前に鹿がいてひっくり返りそうになった。約15kmの上り行程はなだらかではあるが、一度も下りがなく、延々とペダルをこぎつづける。途中自転車を2台抜いた。通りすぎるオートバイはみんな親指を立てて激励してくれる。
 標高500mを越えたあたりから、向かい風が強烈になってきた。5%程度の勾配でもほとんど止まりそうな速度まで落ちてしまう。8%勾配で風に阻まれたときは、無着陸をあきらめようかと思った。オホーツク海に飛び込んでいきそうな絶佳のヘヤピンカーブを抜けると、追い風になった。7%勾配でも時速20km以上ですいすい走れる。
 知床峠を越え下り坂へ。あいかわらず向かい風。時速40〜50キロでかけ降りる。2台のクルマに抜かれ、一台を追い越した。上りより心拍は上がっている。最高時速は70km弱でゴールの羅臼(らうす)に着陸。