気分屋に行く

cippillo2005-10-07

 会社創業時からの取引先であり、経理裏ワザの先達であり、また円熟河内系ライターとしてぶんぶん新聞にも「快敵! 東京性活」を寄稿してくれた南青山の怪人こと鳥越九郎さんが駒沢大学近くで居酒屋をはじめた。
「いっちゃん、もううちの会社あかんで」と言いつづけて1年、いや想像するにこの人はバブルが崩壊して以来ずっと絶え間なく「もうあかん」をくり返してきたのだろうが、「こんどこそ、ほんまにあかん」と断末魔の叫びを上げて2週間、なんと居酒屋の店主になっていた。
 この鳥越氏と、もうあかん提携を結んでいる僕としては、どのぐらいあかんのか見に行くのも仁義と思い、小田原から新幹線、横浜市営地下鉄、東急田園都市線を乗り継いで駒沢大学駅へ。294号線の騒音と排ガスから一本奥まった路地に店はあった。さすがデザイン会社の社長、生まれてはじめての業種に飛び込み、2週間で準備したとは思えない店構え。30年ここでやってますといっても違和感はない。
 カウンターだけの小さな店だが、早くも地元のおばちゃんの常連をつかんだようで、すべりだしは悪くなさそうだ。オープン日はライターの縁で、最近デリヘル嬢へのチャレンジ企画を突貫した中村うさぎ女史も飲みに来て、フルコースで散財して行ってくれたそうだ。俺もここは浄財と意気込み、
「いちまんえーん呑むまでは家に帰ってくるなと、かあちゃんに言われてますねん」
 店でいちばん高価だというスモークオイスターをばんばん頼み、越の寒梅じゃんじゃん行くが、なかなか一万円に行かない。もうあかん、勘定、と言うと、
「せんえんです。ありがとうございます」
「そないなアホな話ないやろ。カンバイじゃんじゃんやねんで」
 と、一万円をカウンターに放り込んで逃げてきた。
 その後はあまり記憶がない。携帯メールの履歴を見ると上野に行ったようだが、その後の足取りはようとして知れず、翌日、新松戸の父の実家で回収された。
 

※店の所在地は、店内写真をクリックして写真ページに行き、下部のマップマークをクリックして地図ページ行くことで詳細位置をみることができます。気分屋に行くときは、インターネットをみて来ましたのひとことを忘れずに。誤ってイチハラの知り合いですとか言うと割高になる可能性がありますのでご注意ください。