仕事明けの箱根とトラ

 仕事で徹夜になった。
 しばらく雨つづきだったが、窓の外を見ると、ひさびさに海から朝日がのぼっている。
 一ヶ月ぶりにオートバイを出した。箱根をちょろっと走って、芦ノ湖で煙草を吸い、家にもどるとちょうどランドセルを背負って通学する娘に会った。
 娘の横に停車したが、しばらく自分の父とは気づかなかったようだ。じっと、フシンシャを見る目だった。そのぐらいオートバイに乗っている印象がないらしい。
 距離が150kmになった。買ってから3ヶ月の合計走行距離。
 これではインプレもできないが、はじめて峠を走ってみて思ったのは、噂通り、中速域のパンチが弱い。低回転域のインパクトが強いだけに、余計にそう感じるのだろう。実際は速いのかもしれないが、味付けがへたである。そのへんはハヤブサに軍配が上がるということだろう。
 200馬力へとつながる高回転域でおそらく怒濤のパワーがあふれてくるのだろうが、怖くて旧道のような狭い峠ではけっきょく使えなかった。低回転域のトルクはすごいので、ヘアピンつづきの旧坂でも4速ホールドでもいけちゃうので笑えるが、これでは軽商用車で引っぱって走る方がよほど魂に訴える爽快感がある。
 日曜の夕方、やっと仕事にめどがたってきたので、平塚のトライアンフ正規代理店に行ってみた。
 世界最古のオートバイメーカー・トライアンフ社が製産している、軽自動車と同じようなエンジンを積んだオートバイの試乗をするつもりでヘルメットまで持っていったのだが、日曜だというのに店がお休み。