女鬼教官(路上強化鍛練170km)

cippillo2005-06-19

 土日はワイフのインプレッサ1.5iに「仮免許 運転中」のプレートをつけて自習をした。
 市街地を中心に二日間で170km走った。
 シフトチェンジ、車幅感覚、後退での車庫入れも、ちょびっとだけだが体が覚えてきた。苦手だった坂道発進実戦版にチャレンジしようと、早朝ならだいじょうぶだろうとふんで魔の加交差点に。しかし交差点に行き着く手前の交差点でもたつき、後ろのマジェスタにクラクションを鳴らされ、心拍が上がったまま加交差点に。サイドブレーキを引いて慎重にやったつもりが、大失敗、じつに下がった下がった。後ろのマジェスタ、びっくりしただろうなあ。ふぁふぁふぁ、ざまみそ。
 しかし、このあと、なんだか運転が荒くて散々だった。
 発着点にもどっての休み時間に、20分ほど教官役のワイフにこってり怒られた。怒られたというか、ほとんど人格否定の域に達していたが、ふだんならすぐに癇癪を起こしてちゃぶ台をひっくり返す俺も、今日ばかりはこうべをたれ、おとなしく聞いた。
「自分がクルマに乗るようになっても、やっぱりクルマに対する敵意が消えてないのよ」
 そういえばオートバイのツーリングで同行者によく同じことを言われたのを思いだす。
「誰もいないとゆっくり走るのに、クルマが見えだすと急にめちゃくちゃやりだすってのは、ふつう、逆じゃない?」
 若いころのような敵意は霧散したと思っていただけに、がっくり。やっぱ俺ってだめみたい。ぜんぜん大人になってない。
「とにかく、クルマの人だってほとんどあたたかく見てくれてるんだから、後ろなんかあんまし気にせずにカリメンらしく走りなよ」
 ルームミラーにクルマが見えると心拍が上がり、アクセルを踏み込む、が、当然オートバイのときのように視界から消えはしないからずっと心拍とアクセル開度は上がりつづけるという、苦しい胸のうちを開陳すると、
「むぅ、ほとんど心の病」
 しかし自分で気づかなかった問題に意識的になれただけでも、大きな効果があった。ミラーにクルマが見えると抑えているつもりでもアクセルが開き気味になり、操作が荒くなる。
「ほらほらほら」
「あ、いかん」
 こんなことを延々とくり返し、次第に周囲にクルマがいても心拍数をかなり抑えることができるようになった。じつにメンタルなトレーニングである。これに慣れてくると、俄然、動きがしなやかになり、運転に統合性がみられるようになってきた。
 苦手だった坂道発進も、ヒールアンドトゥーで解決。どうも俺にはこれが合っているみたいで、1mmも下がらず発進できるようになった。ただ教習でこれを使っていいのかどうかは分からない。
「うん。朝からすれば別人みたい」
 と、ワイフも満足そうだ。
 クルマに乗るということは、大人になるということなのだと知った鍛練の週末だった。